鬼滅の刃がなぜヒットしたのか。
様々なメディアで毎日のように話題にされているが、どれもピンとくる物がなかったので自分で考えてみようと思った。
大前提として、鬼滅の刃は週刊少年ジャンプで長期連載されている作品である、ということ。
つまり内容の面白さについては最初から担保されている。
ではなぜ今まで人気が出ずにくすぶっていたのか。
それは「絵」と「認知度」の絡みにあると自分は考える。
まず「絵」。
鬼滅の刃の絵柄は万人受けするとは言い難い、癖の強い絵柄である。
だからジャンプを読んでいる層の中でも、この絵柄が苦手だから鬼滅の刃は読んでいなかった、なんて人もいると思う。
コミックス派は尚更手を出しづらい。
次に「認知度」。
昔の発行部数600万部を超えるような時代のジャンプであれば、ドラゴンボールやスラムダンク等連載されているだけで認知されるという状態もあった。
しかし今のジャンプは発行部数が大きく落ち込み、もはや連載されているだけで認知度を得られるという状態ではなくなった。
ジャンプを購読している層でも絵柄が理由で読んでいない人がいるくらいの認知度なので、当然、いわゆる「オタク」と言われている層の間でも認知度は低かったと考えられる。
そんな中、鬼滅の刃がアニメ化されることになった。
ジャンプ作品のアニメ化は過去の例から見ても大抵成功に終わる。
大ヒットする作品もあれば、そこそこのスマッシュヒットで終わる作品もある。
鬼滅の刃は(その時点では)そこまで人気のある原作ではなかったので、「ある程度のヒットが約束された作品」程度だった。
しかしここで大きな(嬉しい)誤算が生じる。
アニメ19話のヒノカミ神楽の回が、異常なほどのハイクオリティな作画で大きな話題となった。
これにより、今まで1クールに放送されるアニメの第1話はとりあえず全部見るというレベルのオタクから、話題になっているアニメはとりあえず見ようという自称オタクの単なるアニメ好き、さらには学校の友人や家族といった普段アニメを見ない層にも鬼滅の刃という作品が「認知」された。
新規層の取り込みである。
さらにアニメ化によって「絵」で避けていた人も、アニメから再び漫画に戻るといった現象も起こり、「再認知」された。
これが既存層の再取り込みである。
この状態は、今まで煙だけ出ていた導火線に火がついた状態と言える。
ここで、先に示したように鬼滅の刃は面白さが担保されている作品なので、絵のとっつきにくささえ解消されればあとは自然と人気が出る。
アニメ化による認知度の向上、さらには神回による認知度のブーストで、鬼滅の刃は一気に人気が爆発し、大人気作品となった。
つまり今の鬼滅の刃のヒットの理由は「面白さは正しく、影響の範囲は度を超えて認知された結果である」と自分は考える。
これだけの理由なら他の作品でも起こりそうだが、今のコロナ禍というご時世や元々の人気とのギャップ、1年に1作品あるかないかのアニメの神作画だった、と様々な細かい要因もあってのことだということも付け加えておく。