ゴトウ

TIGER & BUNNYのゴトウのレビュー・感想・評価

TIGER & BUNNY(2011年製作のアニメ)
5.0
実在の企業ロゴを広告として体につけたヒーロー、ぱっと見イロモノ感もあるが、実際は「ヒーローとは何か」「ヒーローとはどうあるべきか」という問いにどこまでも誠実な作品だった。

実力は申し分ないがヒーローとしては未熟なバーナビーと、どこか抜けているが人間性は完成されたタイガー。バディが互いに影響を及ぼしあい、成長していく様はベタながらアツい。バーナビーの両親殺害の犯人は誰なのか?という大きな軸がありつつ、各キャラクターも丁寧に掘り下げられていて飽きさせない。ヒーローはもちろん、周囲の人物もキャラが立っている。斉藤さんとベンさんの合流も良いし、1クール目では影の薄かった楓が、最終的には決戦の鍵を握る存在にまでなっていくのが特にアツかった。職業ヒーロー作品では定番の、自分の家族を守ることと市民を守ることの間の葛藤があるのも良い。お約束を全部平均点以上で回収してくれるので観ていて気持ちが良い。

一方、特異な設定も飛び道具で終わらせず、1クール目では「犯罪発生から犯人逮捕までをTVショーとして放送する」という流れを強敵にそのままやり返されるし、2クール目は一つの組織にヒーローがまとめられていることの脆弱性が突かれる展開。被害者が出ている犯罪をショーにする倫理観どうなん?というところにも、タイガーが「市民の安全が最優先」というラインを守ることで応えている。しかも、「ついつい戦いの中でいろんなものを壊してしまう」というギャグを織り交ぜて伝えてくれるので説教臭い展開にもならないのが良い。

ブロマンスな雰囲気で女性も掴んだらしいし、桂正和によるキャラクターデザインは男性人気も高いはず。露出度の高いコスチュームの割には(桂正和の割には?)エロくなっていないので気も散らなくて良い。そう考えるとコードギアスちょっとおかしかったな。

アンチヒーローのルナティックやウロボロスなどの謎を残しつつ、序盤と同じやりとりが(さらにアツい意味を持って)繰り返される一番かっこいい締めで終わった。2期が見られるなんて嬉しいな。序盤からファンだったロックバイソン、終盤の「ゲス野郎」連呼で変な爪痕残してて笑った。
ゴトウ

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