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岸辺露伴は動かないのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

岸辺露伴は動かない(2021年製作のアニメ)
5.0
『ジョジョの奇妙な冒険』Part4『ダイヤモンドは砕けない』の登場人物、漫画家の岸辺露伴を中心として展開するスピンオフ作品。タイトルの「動かない」は、「露伴は主人公ではなく、あくまで物語のナビゲーターである」という意味である。

1、懺悔室
怪我をして連載を中断していた岸辺露伴は、休載期間を使ってイタリアへ旅行に行き、ストーリーの新展開のための取材を行っていた。露伴が取材のため『懺悔室』に入ると、ある一人の男が懺悔に訪れる。露伴は自分が誤って神父の部屋に入っていた事に気づくが、「体験は作品にリアリティを生む」と考えたため男の懺悔に耳を貸すことにした。

2、六壁坂
露伴は読み切りの打ち合わせにきた漫画編集者の貝森稔に原稿料の前借りを申し出る。妖怪伝説の漫画を描くために取材を行っていたところ、その土地に開発業者がリゾート道路を通そうとしていたため、周囲の山を6つ買って阻止したらリゾート計画で高騰していた地価が暴落、破産したというのだ。あまりの内容に貝森は呆気にとられるが露伴は「ちゃんといたんだから取材の価値は十分にあった」「『六壁坂』の妖怪は今もそこにいる」と続け、彼が取材で訪れた六壁坂村で数年前に起こったある事件と取材時に起きたある出来事を語り出す。

3、富豪村
露伴は漫画編集者の泉京香との読み切りの打ち合わせの際、山奥の別荘を買う話を漫画にしないかと提案される。『六壁坂』の一件で破産している露伴は反対したが、実際に別荘を買うのは泉であり、購入までの過程を取材してアイデアに繋げてはどうかと言う。
その別荘地のある村は杜王町から北西へ80数キロの山奥に位置しているが、そこに向かうための道路は一切なく、住人はヘリコプターを利用している。また、送電線の1本も引かれておらず、周囲の深い森に遮断されている独立した群(むら)になっている。たまたま地図でその特異な村を見つけた泉が興味を持ち調べると、村には11軒の豪邸が建っており、所有者全てが世界屈指の大富豪であることが分かった。彼らはごく普通の一般的な生活を送っていた若者であったが、「25歳の時にこの別荘地を購入したことを転機に、成功を収めて大富豪になっていった」という。
今回、その別荘地の1区画が800坪・300万円という破格の値段で売りに出されたことを知った泉は、自身が25歳ということもあり、11人の大富豪たちが土地を所有することで人生の成功者になれたのか、それとも偶然なのかを立証してみたいと考え、まず購入の意思を示すために売り主に会いに行くという。泉の話を訝しく聞いていた露伴だったが、好奇心と興味に背中を押されて、彼女の付き添いという名目で同行取材することにした。

4、ザ・ラン
右手を骨折した岸辺露伴。彼はその結果に至る経緯について珍しく自らの行いを反省しており、後悔の表情を浮かべながらその時の出来事を語りだす。
露伴はスポーツジムで俳優志望の男、橋本陽馬にトレッドミルを用いた勝負の再戦を持ち掛けた。その内容は徐々に加速するトレッドミルの走行スピードが時速25kmに達した時点で両者の間に置かれたリモコンを取り合い、リモコンを奪取して緊急停止ボタンを押したら勝ちというもので、露伴は一度彼に勝利していた。
陽馬は再戦に応じ勝負が開始されたが、前回の勝負に関する分析や公正に異常なほどこだわる彼の言動に露伴は次第に異様なものを感じ始める。
オリジナルビデオアニメ化したスピンオフ作品。

「ジョジョの奇妙な冒険」第4部「ダイアモンドは砕けない」の人気キャラクター岸辺露伴が、漫画の取材した先で聞いたり、体験した奇妙な出来事を元にした見聞録。
イタリアの教会の懺悔室で偶然聞いた恐ろしい話「懺悔室」は岸辺露伴はストーリーテラーだが、25歳にある村に移住した者がみんな富豪になった「富豪村」で土地の売り主の代理である一究や筋肉の神ヘルメス神の化身と化した橋本陽馬との対決に成り行きで挑まなければならなくなった岸辺露伴がギリギリまで追いつめられながら相手の性質や能力の隙を突き危機を逃れるバトルは、スリリングで予想を裏切るサスペンスがあり、「ジョジョ」本編より地味だからこそ荒木飛呂彦お得意の濃厚なサスペンスホラーがあり、面白い漫画を書くために危険を覚悟で手段を問わない岸辺露伴のエゴイスティックだがプライドが高いキャラクターの魅力が存分に楽しめて、荒木飛呂彦作品のファンなら満足出来るアニメシリーズ。
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