平田一

ブルーピリオドの平田一のネタバレレビュー・内容・結末

ブルーピリオド(2021年製作のアニメ)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

今期断トツ推しアニメ!

月刊アフタヌーンにて連載の美術漫画(「彼女と彼女の猫」等の山口つばささん原作)を、「マギシリーズ」の舛成孝二総監督でアニメーション化。主人公を演じるのは「セスタス -The Roman Fighter-」の峯田大夢さん。

簡単なあらすじは、

何事もそつなくこなせ、成績優秀、酒もタバコもする高校生、矢口八虎。ある日彼は一枚の絵と、偶然の出会いを果たし、それ以来美術の世界に魅了されることになり―――。

美大合格を目指す、八虎の日々が動き出す―――!

主軸としては美大合格、美術にのめり込んでく姿、凡人と天性の才能の隔たりと、ある種の狂気を糧にしてでも足掻くチャレンジャーたちを追いかける物語と、ボクは見ていて思いました。

可燃性のある音楽や描写に頼ることはせず、内面から湧いてく熱を掬い取っていくような、蒼い炎のような香りが、このアニメの特徴ですね。

加えて“才能”に振り回され、打ちのめされて、自暴自棄に陥っていくキャラクターのドラマも大変素晴らしく、シンパシーを抱かずには、もはやいられませんでした。

何かを目指す人が見たら、もっと共感できるかと。

無論、それだけでは収まらない、見所も詰まってます。キャラクターに関しても、ホントに文句が出ませんでした。

特に主役の矢口八虎は、久しぶりに感じました。

“あ、コイツは無条件で、追っかけてきたいキャラ”だって。

何でもそつなくこなせることに対する大きな虚無感が、一枚の絵と出会って上塗りされてく高揚感。何かに燃えたい初期衝動が加速されてく達成感……色んな微細な心理描写が、全話でバンバン映されてって、どうあっても埋められない差への焦りと苛立ちも、過不足なく描かれていて、終始画面に釘付けでした!

演じる峯田大夢さんも完全に八虎ですし、こういう静かな熱さを宿した役がお似合いでしたね!

同じ意味で鮎川龍二も追いかけたいキャラでした。

画家の夢を認めてくれない両親との軋轢や、指針を失い自棄になってく、心理的孤立無援……腐れ縁の八虎とぶつかり、自分を取り戻すまでの再起。この子もホントに主役を張れるドラマを内包してますね。特に龍二を特別視してないところが大好きです。彼は所謂、性同一性障害の持ち主ですが、1話から最終回まで“ごく普通”の一個人。原作もそうでしょうが、それを一貫してるんですよ。

その視線が本当に、ボクは嬉しかったです!

ケースは違えど、ボクにも通ずる経験があったので!

演じる花守ゆみりさんにも、もはや文句がつけれません!この人何でこんなに魅せるお芝居ばっかりなんだろ……

と、色々書きましたが、この二人以上に推したいキャラクターを最後に書きます。

八虎くんが美術に興味を持つきっかけを与えた人物。

そう、森まる先輩です!

スゴい伏兵なんですよ!

この人は“祈り”をテーマを書き続ける美術部部長で、派手な見た目の八虎くんにも普通に接する先輩です。一見小柄な可愛い系で、お胸も大きい先輩ですが、絵に集中しているときは、一転して気迫に溢れ、没入と言えるぐらいに集中する持ち主で、つまり半端ないギャップ持ちの、カッコよくて、可愛いお方。まさかこんな破壊力のヒロインに出会えるなんて、初見の時は全く想像できませんでしたね、ホント(ボクの中ではメインヒロインだって思っていますよ)w

この役を演じているのは、青耶木まゆさんという方で、どうやらほぼ新人の声優さんらしいです。

勝手ながら断言します。

この人、注目すべきです!

包み込むような温かみ、一転した気迫の気配。それらを一声で表現し、しかも演技と感じさせない。

冗談抜きで大ブレイクするかもしれない人ですよ。そんな予感をアニメ見てて何度もボクはよぎったし。

その真髄が発揮されていたのは“カップリング”です(これはホントにボクの私見)。ぶっちゃけそこがボクの中では一番の威力でした。

八虎×森先輩。

何なんですか、この二人。

何から何まで尊すぎるし、キュンキュンされてばっかりです!

いやね、ホントもう……この二人が一緒の場面、まるで青春恋愛アニメのような香りになるんですよ。そういう関係性だって描かれてはいないんですよ。でもね、この二人が一緒にいる場面とか、直接の絡みはなくても、繋がっている各場面が、他のキャラとは一線を画してるんですよ、マジで!

お互いの絵を交換する第2話の場面にしても(ここは二人が急接近するって意味でも大切です)、体調を崩した八虎が別の人(高橋世田介)を森先輩と見間違える11話でも、森先輩で締め括られる最終回ラストにしても、マジで二人の関係性が他とはホントに違うんですよ!

何というか、目標であり、応援したい間柄……けれどもっと、別の気持ちもあるかもしれないキュンキュン感……正直そこだけ見ていくだけでも、このアニメは素晴らしいです!

我ながら驚くぐらいに、興奮しまくりでしたね(笑)。

書けば書くほど、どこでレビューを止めるか分からないほどに、このアニメはドンピシャで、どストライクアニメです。こんなに興奮しまくったのは「甲鉄城のカバネリ」に胸を焦がした時以来!

あー、ホント、漫画の方も電子・紙の両方買いたい!

ムッチャクッチャ、レビュー書いてる今でも、滾っちゃってます!!

流石にもう暑苦しいのもアレなんで、総括をw

「ブルーピリオド」、個人的に今秋ベストアニメであり、今年度においてもかなりの上位に食い込むTVアニメ……そう断言できるぐらい、大好きな作品でした!

2期決定とかしてほしいし、漫画も全巻買いたいです!

出会えたことに感謝をしたい、最高の時間でした!!

ありがとうございました!!!

長レビューへのお付き合いも(苦笑)。
平田一

平田一