平田一

メイドインアビス 烈日の黄金郷の平田一のレビュー・感想・評価

4.9
“二度とは戻らない「望郷」の彼方へ――”

つくしあきひとさん原作のダークファンタジーアドベンチャーをアニメ化して大絶賛のアニメシリーズ第2期目。第1期から5年ぶり、劇場版から2年ぶりの新作TVアニメーションは、「成れ果ての村」と決死隊「ガンジャ」と「姫」が登場するエピソードを1期のスタッフ・キャスト陣が映像化。奥行きをさらに増したドラマと世界になっていました。

ボンボルドとの決着から旅を続けるリコたちは、道中で「成れ果ての村」と呼ばれる場所に辿り着く。そこは独自の価値観で形成されたコミュニティで、そこで暮らしていたのはなんとナナチと同じ「成れ果て」だった。一方レグは“姫”と呼ばれるラフタと名乗る者と出会い……明かされる成れ果て村とある冒険者の末路……

ちょっと「ゴブリンスレイヤー」みたいな文章になったけど、それはさておきアニメアビス、此度もホントに良かったです。回を増すたび、深層に踏み込む話が怖すぎる。

この前の劇場版も相当おっかなかったです。ボンボルドのヤバさにしても、プルシュカの悲劇にしても、あれはホントR15に相応しい傑作です。だから今回5年ぶりのTVシリーズだったから、残酷描写は緩和されるのかなって思っていたんです(マンガ読んでないけどね)。

……そしたら、緩和どころかエグさ倍増してました。
勿論話の性質上、絞った形にしてますが。

いやこれね、序盤で大体いくつか想定できるのよ。じゃなきゃわざわざ「並行」して描く意味が分からんし、もしかしたら“これ”なんじゃって予想も出来んのよ、結構……。

けどホント、やっぱ本編見なくちゃ何にも分からんわ。こっちの想像なんか超える地獄のお出ましでしたね。

黄金郷を目指して進むガンジャ隊のヴエロエルコ。そんな彼女が出会ったのはイルミューイという少女。この二人が本編のキーパーソンなんですが(これぐらいならギリギリ言っても問題ないかと思います)、イルミューイは女性としての機能に障害があります。ヴエロエルコも男に昔、慰め物として飼われ続けて、お互い居場所が持てなかったという共通項があります。だからある意味ガンジャ隊はホームのようなものなんですが、それ故に待ち受けているものは中々堪えます……。もうレビューのハッシュタグに乗っているから言っちゃうけれど、ある場面で「カリバニズム」があるんですよね、これが……。ただどうしてそうなってしまったのかについてはもう、本編を見て欲しいとしか言えない。絶対に……。毎週更新された回を押すのが正直怖かったけど、それでも観たいという本心が結局勝っていました……。何より「絶望」通れないと、最終回は拝めません。もうボクは最終回で感動するしかなかったし……。

リコたちがどのように関わっていくのかも、物語に一度たりとも埋没せずに進みます。レグとラフタにまつわる謎もかなり気になるものでしたけど、ボク的にはマアアさんがホントにホントに良かったです。ミーティを握りつぶしてリコの怒りを買ったあとの「清算」されてしまった場面は一瞬で怖くなり、そこからの贖罪(?)も兼ねてのリコとの行動でどんどんどんどん愛されキャラになっていくのが楽しいし、リコと同じでミーティの件も許せていました。だからこそ最終回、あの場面のマアアさんにバスの中で泣きそうになってしまいましたよ……。情報遮断の上でどうか見てくれって限りだけど、あの最後は寂しさを避けては通れないですね……。

もうダメだ。サントラ流して気分を上げているけれど、書けば書くほど書きたいことがあふれ出てきて欲が出る(またかい)w 見終わった時のこっちは軽く放心状態で、しばらくたったらいつまでも3期を待つ……になれました。

どっかでまたアニメアビスに浸る時間を作りたい。今度は深夜の静かな時間にでも堪能をしていきたい。

いくらでも戻ってきたいアニメアビスは終われない。
年間BEST10どころか、上位に入れる傑作です!


※残酷描写が苦手な人は即時撤退推奨です。
平田一

平田一