原作はWEB漫画で、書籍化もされている。
原作を読んでアニメを見ると大抵ガッカリするものだが、アニメの方が原作より断然良いという珍しい作品。
個人的には、原作漫画はモノクロベタが多くてとても読みにくく、状況もつかみにくかった。
アニメ化されて、あの世界がここまで煌びやかに表現されたのかと興奮した。
特に極彩色に彩られたアビス内部の風景は感動的だった。
圧倒的作画。
巷で言われる通り、グロいシーンや残酷なシーンはあるが、そんなダウナーを上回る感動が得られる……、たぶん、……人によるかな?
ハラハラしてドキドキさせてワクワクが止まらない物語は、古今東西のSF小説やファンタジー小説と比べても全然見劣りしない。
物語世界は、それくらい細かく設定・構築されている。
「メイドインアビス」ほど独特な世界観を持ち、希有なオリジナリティを備えた物語・アニメは、他には思い浮かばない。
唯一無二の存在と言える。
舞台となるのは大きくて深い大穴「アビス」。
深さは数万mにも及ぶとされ、「奈落の庭」と呼ばれる最下層がどうなっているのか、未だ判明していない。
なぜなら、アビスを下に降りるのは問題ないが、登る時には「アビスの呪い」と呼ばれる上昇負荷がかかるため、負荷を克服した者しか上がれないから。
上層部なら吐き気や頭痛程度の軽い症状で済むが、深部に進むほど重くなり、酷くなると全身から出血したり精神が崩壊したり、最悪命を落とすこともある。
また、各階層ごとには、モンスターが出現し、「探窟家」と呼ばれる冒険家たちの行く手を阻む。
モンスターは下層に行くほど強くなるとてもやっかいな存在。
アビスは遺跡のようなもので、各階層からさまざまな遺物が見つかる。
探窟家はアビスに潜って遺物を発見し、それらを換金して生活の糧としている。
中にはアビスの謎を解き明かすヒントとなる遺物もあって、それらが「あこがれはとめられねぇんだ!」と探窟家たちをアビスへと誘う動機にもなっている。
最上級の探窟家だった主人公リコの母親=殲滅のライザは「奈落の庭で待つ」と手紙を送って消息を断った。
なぜそんな手紙を送ってきたのか?
ホントにリコの母親なのか?
母を求めて、リコはアビスに潜る決断をする。
主人公のリコは、ちょっとロリコンっぽいので、好き嫌いあるかも知れない。拒否反応を起こしそうな描写もある。
でも、他にも出てくるので気に入ったキャラが見つかるはず。
大穴の縁に築かれた街「オース」から冒険に同行するのは、リコが上層階で倒れたいたところを発見して連れ帰ったロボット少年・レグ。
記憶を失っており正体不明だが、卓越した様々な能力を持っている。
最も強力なのは、リコが「火葬砲」と名付けた手のひらから発射する強力ビーム。
ただし、発射の10分後に2時間の意識不明に陥る。
二人?目の冒険の友になるのが、うさぎのような耳が特徴的な性別不明の獣人のナナチ。
めちゃ可愛くてフワフワもこもこなのでフィギュアでも大人気。
ナナチが過去を語り、友だちのミーティと別れてリコと冒険に出ると決意するエピソードは号泣必至。
アビスを下る冒険でモンスターに戦い様々な人に出会い、苦難に満ちた冒険に挑んでいく。
このあたりの描き方が、かなり現実的。
リコは大けが負っちゃうし、レグの「火葬砲」はチートだけど使用制限あるし。
巷に溢れる異世界チート俺TUEEEに飽き飽きしていた自分にはとても新鮮で、逆にリアルに見えた。
アニメ後の物語は、2020年に公開された映画「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」で描かれ、更に2022年のシーズン2「メイドインアビス 烈日の黄金郷」へと続く。
シーズン3は制作されるはずだが、原作が遅々として進まないため、もうちょっと先になりそう。
楽しみに待つことにする。
「あこがれは毒より強く病より深く人を捉える。一度つかまると決して逃げられない。それはまるで呪いだが、冒険者たちはみな進んで身を投じていく。彼らにとってあこがれのない人生は死よりも恐ろしいのだ!」
(12話 ナレーション)