ソラアユム

炎炎ノ消防隊 弐ノ章のソラアユムのレビュー・感想・評価

炎炎ノ消防隊 弐ノ章(2020年製作のアニメ)
3.6
『さぁ答えろ!お前は悪魔か?それともヒーローか?』


人々が原因不明の人体発火現象により“焔人”になってしまう世界で、発火能力を持ち“第三世代”と呼ばれる能力者の少年、森羅日下部の闘いを描く少年マガジン連載中で大久保篤の漫画『炎炎ノ消防隊』のアニメ化作品第2弾

登場人物も増え、特殊消防隊、灰島工業や東京皇国軍など世界観が固まり始め、S1よりも楽しめました。ただストーリーの進め方や組織の描き方が雑な印象を受けるのは前シーズンと相変わらず。

東京皇国において特殊消防隊にすべてを任せ過ぎ問題
世界観が固まり、全容が見え始めると気になってくるのがこの特殊消防隊に世界の命運任せ過ぎ問題です。もちろん、主人公が属する組織を中心的に活躍させたいのは分かりますし、少年漫画としてある程度目をつぶりたい部分もあります。ただ、警察や国軍などの国家組織があるのに世界滅亡を目論む伝導者一派との攻防、調査、それによって起こった被害や災害の収拾をすべて特殊消防隊に一任している(もしくはしている様に見える。)のはどうしたって違和感があります。再び行われた地下(ネザー)への大規模調査も国軍や警察組織は全く介入せず、特殊消防隊同士で共同戦線を張るという展開にはどこから突っ込めばいいのやら…そもそも、S1で地下に灰焔騎士団のアジトがあった時点で、国家は地下への大規模な調査団を組織して調査を即刻開始すべきでしょう。伝導者一派の目的が250年前に起きた“大災害”を再び起こすことであると情報共有できているなら、最も率先するべき国事ではないですか。S2終盤の地下への大規模調査だけではなく、「えーと、あの件どうなったの?もしかしてほったらかし?」ってことが多すぎません?灰島工業の息がかかっているDr.ジョバンニが伝導者一派と判明したのに灰島へ内部調査が全く開始されない、途中で思い出したかのように第8が調査を始めたりと、やっぱりストーリーの進め方がかなり雑です。そのほかにも中華半島の次元の狭間に調査に行く件も突っ込みどころしかない。世界の真相を探る最重要地である次元の狭間に、今の今まで誰も調査を行ったことがないのは何故ですか?次元の狭間のオアシスにあった○○に驚いていたことから、初めてあの場所に行ったんですよね?この世界の住人は世界で何が起こっているのか疑問を持たないのでしょうか?第二次世界大戦が起きました、でも何が原因か分かりませんって言ってるようなものですよ。聖陽教が東京皇国民の記憶の改ざんをした?(それって『進撃のきょ…』)

魅力的な敵の不在
S2最初に登場した5柱目のインカ然り、敵の女性キャラはサイコパスで人間味を全く感じません。アローくらいじゃないでしょうかね。インカ、ハウメア、ドミニオンを操っていた第三世代かつ灰島に所属する女性(名称不明)、全部同じです。サイコキャラしか描けない=人間味のないキャラクターしかいないに等しいです。特にインカは灰島工業調査編にも登場しますが、特に戦闘に参加するわけでもなく、現況を解説できるほど頭も良くないためさっさと地下へ帰った方がよいでしょう。ハウメアに関しては状況を混乱させて伝導者一派側にも被害を与える迷惑キャラでしかない。大事な柱が堂々と前線に赴く意味もストーリー的な意義もありません。とりあえず登場させときました、としか思えません。特に今シーズンでは象がほとんど登場しなかったことが痛かった。伝導者一派は普段どんな会話をしているのでしょうね笑

…良かったところ

紅丸とジョーカーがバディを組んで聖陽教の本拠地に乗り込むところ(乗り込むまでの展開は雑過ぎでむしろ清々しい)。シリアスとコメディのバランスが今シリーズにしては珍しいくらい良かったと思います。ジョーカーが突っ込み役になるとは夢にも思いませんでした。ジョーカーの「だっさ…」は笑いました。今シリーズで一番面白かったです。

EDの『インフェルノ』

以上です。

つまらなくはないし、いい暇つぶしになりましたし、なんだかんだ気になるストーリーだったので、原作をアニメの続きから読もうと思いました。細かいことを気にしない人には、そこそこお勧めのアニメです。


鑑賞期間2021年3月2日~3月12日