【TV/OVA版ガンダムを製作年順にレビュー中】
'89年制作。「ガンダムZZ」の後に「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」が劇場公開され、いわゆる宇宙世紀のガンダム・サーガが完結。その翌年にガンダム・シリーズ初のOVAとして発表されたこの「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」は、ファースト・ガンダムの舞台になっている1年戦争後期にサイド6(スペース・コロニーのひとつ)で起きた事件を題材にした外伝的ストーリーになっている。
本来はアムロに渡される予定だったという新型ガンダム「ALEX」が登場する辺りで、ファースト・ファンの心を鷲掴み。ザク、ゴッグ、ゲルググといったファースト系のモビルスーツの改良型も多数登場。更に物語は子供視点という事で、アムロの成長劇に感動したファースト世代が好きな要素がてんこ盛りだ。
しかし、あまりにファースト・ファンに媚びすぎているように思え、ガンダムシリーズが持つ革新性という点では物足りない。シリーズでずっと総監督を務めてきた富野由悠季が関わっていない初めてのガンダムでもあり、彼が不在になると手法的な核の部分がほぼ失われる事を、逆説的に知る事になったとも言える。