もこもも

サマータイムレンダのもこもものレビュー・感想・評価

サマータイムレンダ(2022年製作のアニメ)
4.3
日都ヶ島を舞台にタイムリープを繰り返して真相が明らかになっていく"影"との戦いを描いたSFミステリー

完成度高くてめっちゃ面白い
1周ごとのタイムリープの中に
明らかになる真相と深まる謎があって
たちまちのめり込んで見入ってしまった
衝撃的な真相が連続する序盤、
壮大過ぎる敵の存在に絶望する中盤、
強い想いと覚悟も持って総決戦に挑む終盤、
タイムリープ&サスペンスの土台の上に
話が進むごとに夢中させられる魅力があって
最終話まで駆け抜けるように鑑賞

タイムリープの設定が面白い
戻れる時間が戻るたびに短くなっていく、
敵も慎平と一緒にループしてくる、
この2つが新鮮で面白みが増したし、
これがあることでの絶望感も凄かった
細かい伏線の回収も素晴らしい
ストーリー構成にしても作画にしても
演出にしてもキャラクターにしても
色んな要素が高いレベルで集約されてて
観始めたら止まらんくなるのも納得

聴くたびに好きが増すマカロニの1期OP
不穏さが漂い寂しい余韻が残る1期ED
曲もアニメーションも大好きな熱い2期OP
締め付けられる寂しさと温もりを感じる2期ED
どれも作品が蘇える素敵な曲で好き

「フィクションを心から信じられるのが人の業だ
 金然り、宗教然り、物語然り、
 だから私は小説家なのだ」

慎平も潮も澪も窓も朱鷺子も
根津さんも凸村さんもみんな好きやけど
南雲先生の存在が自分にとって大きかった
冷静で柔軟な思考と豊富な知識、
話し方も強い覚悟も容姿も惹かれるし、
南雲先生がいる時の安心感が半端なかった
慎平にファンって言われた時に見せへんけど
内心照れてたりする、みたいなのも好き
離れ島の戦いはほんまかっこよかったな...
震えたし、痺れた...

「慎平、ちゃんと私のこと見つけてよ
 澪のこと守っちゃってね」

潮のこの言葉から物語は始まる
常に不穏な雰囲気が漂う日都ヶ島で
影の存在を知ることで長き戦いの幕が上る
序盤からいろいろ衝撃的な真相があったけど
一番最初に大きな衝撃的を受けたのは
無害な潮の登場やったかな

「あの時ああしてればよかったとか
 なんであんなこと言うてしもたんやとか
 僕、後悔ばっかりです、いっつもいっつも
 でも今、まだ俺は後悔してません
 まだ手遅れじゃありません」

最悪の結末が描かれた第五話
大傷を負った慎平の前に登場する
竜之介がミオの陰を倒す新展開から
絶望しかないこの結末へと続いていく
この話でようやくOPの最後に慎平が
自分に銃を向けてた意味を理解できた
慎平が時を操る力を相手も理解して
殺してもらえなくなるってことなのね
澪はもちろんやけど潮も救える未来はないのかな...

最悪の結末からの再スタートからは
バトル要素や想定しない新展開が増えたことや
影の見分け方と倒し方が明かされたことで
さらに面白さが加速していった
死ぬ前の潮は何を知ってたのかが
序盤の一番大きな疑問やったけど
潮の携帯に残ってた動画に答えがあった

夏祭りの時から覚悟はしてたけど
敵の正体が壮大過ぎて強大すぎて
これをクリアする手立てが分からず
圧倒的な絶望と不安が中盤は渦巻いてた
ハイネもループするようになってからは
さらに絶望が重なってどうすりゃええねん状態

朱鷺子とそのお父さんの真相も辛いなぁ
お父さんと子供たちに向けた
菱形家のお母さんの言葉に感動
「ここまで2人の成長を見届けられて」
のところとかめっちゃ胸が熱くなった
そしてとうとう明かされたシデの正体
どういうエンディングに繋がるのか

「どれだけ長く生きたかじゃない
 いかに命を使い切ったかだ」

離れ島の南雲先生の戦い
あまりのかっこよくて痺れた
戦闘力が高くてとかじゃなくて
その固すぎる覚悟に体に熱が入る
命を燃やし尽くした先生の生き様が
美しくて力強く胸に刻まれた

「みんなが俺をここまで運んでくれた
 誰一人無意味なんかじゃない、無意味にはしない
 みんなが繋いでくれたから俺はここにおる」

影の世界に行く前の慎平の告白が
めちゃめちゃにかっこよくて惚れる
影の世界で迎えるシデとの最終決戦
ハッキング準備が整うまでの2分間の
慎平と竜之介の死闘は凄まじくて力が入る
みんなの顔が浮かぶ上のセリフのシーンは
心の底から、倒せ!って全身に熱が入った
シデとの闘いに決着がついて、
潮と別れる24話のEDがめっちゃ感動
ここでようやく第一話の冒頭に繋がるんやね

「慎平めっちゃ髪伸びたなぁ、変やで」

今までのことがなくなって
ハッピーエンドになることは
作品によって冷めちゃうことがあるけど
この作品はめっちゃ幸せになれた
幸せを抱いたことに自分が作中のキャラに
どれだけ感情移入してたかを実感させられた
過去も含めて影によって亡くなった人たちも
生きている世界線に温かな感動と幸せを抱く
個人的には南雲先生が生きてることに感無量
スランプから脱出した興奮状態の南雲先生に
くすっとした笑いと幸せが込み上げた
元気なしおりちゃんの姿も胸がじんとする
これ以上ない最高のハッピーエンドやね

「時が、夏を上書きしていく
 過ぎ行くことへの安堵と寂しさ
 そして痛みを残して」

ラストの花火のシーン
今までのことがなかったかのような
みんなが生きている幸せな世界、
でもそれはなかったわけじゃなくて
潮と慎平を中心に諦めずに闘ってきた
エンディングであることが実感できる
たこ焼きのくだりからのラスト
ほんまに、ほんまに良かったね
月夜で輝く2人が美しい

「ただいま」

⚫︎1クール
OP : マカロニえんぴつ『星が泳ぐ』
ED : cadode『回夏』
⚫︎2クール
OP : 亜咲花『夏夢ノイジー』
ED : りりあ。『失恋ソング沢山聴いて 泣いてばかりの私はもう。』
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