ねっしー

Venus Versus Virusのねっしーのレビュー・感想・評価

Venus Versus Virus(2007年製作のアニメ)
2.5
少女漫画展開×百合展開のコンセプトは新しい!!
でも、百合に彼氏はいらないでしょう……

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タイトルロゴから受ける印象よりずっと芯のある作品でした。

見える人には見える、かつ見えた人に襲い掛かってくる悪魔風ゾンビ。
ある日、見える側になってしまったバーサク状態で最強な女子高生と、初期では最強っぽい風格でありながら進むごとに周りのインフレから置いて行かれる女子高生?の異能バトル物。

主人公の少女二人の生い立ち・過去が見え隠れし、恋愛とそれぞれの境遇に起因する感情が現れおり、しっかりと物語としての面白さがあります。

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少女漫画×百合。
他にない挑戦です。しかし、魅力的にするには一歩考えの足りないコンセプトだったのかもしれません。


主人公は彼氏がいて少女漫画的な展開(キスまであり)と、主人公を救ったお姉さまとの百合展開(多数の匂わせ)が同時に存在します。

これは二つのジャンルの良いとこ取りのようにも感じますが、本作ではハイブリッドというより並行しているように思えます。

そもそもの話、女性が好きなドロドロした恋愛劇と、男性が好む綺麗な百合は同時に存在しえません。

どちらもフェチとしてのジャンルです。
フェチ作品というのは、フェチを持つ人物がいることで成り立ちます。
つまり、作者目線に立つと、フェチを持つ<ターゲット>に刺さる作品を作らなくてはならないということです。

その点で、2つのフェチを合わせた作品は2つのターゲットが持つ異なる需要を満たし、かつそれぞれのターゲットの持つ<作品上のタブー>に触れないようにしなければなりません。

これは視聴者についての深い洞察がなければ難しいでしょう。
その一方で、両ターゲットへの理解があれば無理のない試みとなります。

本作は最初に書いたとおり、百合ジャンルには男性キャラの恋愛的介入が邪魔であるという、タブーに触れてしまいました。


本作で行われている少女漫画展開と百合展開の並列はコンセプト的に珍しい取り組みです。
同等の作品もあるのかもしれませんが、私は知りません。

一見すると取り合わせの悪い2つのフェチが1つの作品に併存するのは間違いなく面白いアイデアです。

正直、彼氏とのキスシーンがなく、彼氏を上回る百合要素があれば良かったのだと思います。
そうあれば、少女漫画的な面白さもあり、なおかつ普通よりも百合の要素を高めることができたはずです。

もしこれが実現されていれば視聴者として盛り上がったでしょうね。

まあ、こんなコンセプトを原案や製作が意識したかは知りませんが笑


出来上がった構造は面白かったので、高評価にしたかったです。
しかし、結果的に出来上がった物語に納得いかなかったので、低評価にしました。
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