主人公にあらゆる困難と辛苦を与えた上で魂を救済する物語。
原作(結末)を知っているので、なかなか観る気になれなかった。
見始めてまず思ったのは原作絵の再現度の高さ。
特にキャラデザはとても優秀だ。
吉田秋生が描くアッシュ達を、上手くアニメーションに落とし込んでいる。
ストーリーは(国家間のパワーバランスを変えてしまいかねない)恐ろしいドラッグを巡るミステリーで始まるが、次第にギャングのリーダーである美しく賢く強い主人公アッシュ・リンクスを巡る攻防になっていく。
言わば彼の運命の不条理を描いている。
時代背景が原作ではベトナム戦争後だが、今作では近年に変えられている。
それにより多少テーマとシリアス度合いのミスマッチを感じるが、出てくるアイテムに違和感がないおかげでとっつきやすくはなっている。
近頃はやれ異能だ、術式だ、異世界だを散々観ているせいで、銃撃戦やナイフを得物に闘う決闘が新鮮に感じられて良かった。
名作と言われるだけあって、原作のストーリー自体が良く出来ているし、今観ても色褪せていない。
出てくるギャング達は皆子供と言っていいくらい若く、野心があり直情的だ。
そんな彼らvs老獪な大人達の構図が、度々カタルシスを味合わせてくれる。
しかしやっぱり痛いのだ。
月並みな言い方だが、自分はアッシュが可哀想でならない。