作中ふと冷静になるたびに、自分が英二の家族だったらどう頑張っても伊部さんを許せねえという感情と、そもそも見知らぬジャーナリストと息子が渡米してギャングの事件に巻き込まれ数ヶ月帰らないどころか撃たれて車椅子で帰国するなんてなったら伊部さんを許せねえという感情と、陸上スランプで笑わなくなった少年を救うという名目の自己満に走るオッサンの履き違えた自己肯定感が怖過ぎてやっぱり伊部さんを許せねえなという感情でいっぱいだった。そして困ったらレイプを使うような中盤の構成にはひたすら無。たしかにレイプは蔓延っているしそれは絶対悪だし気持ち悪いし許してはならないけれど、だからと言って流石に使い過ぎていた気が。そこに意図があるのかもしれないけど、にしても使い方の雑さに不快になる。あと英二は絶対に早々に帰国した方が人が死なずに済んだよ。一部の人間の自己満足で一体何人のモブが死んだのでしょう。わたしやわたしの家族は、モブか主役かと言われるとモブ側の人間なので、死んだモブとその家族や友人の人生を考えると、英二とアッシュの2人の愛なんてどうだって良いとおもってしまうし、アッシュはまだしも、日本に恵まれた環境がある英二は自分がNYにおいて台風の目であることにいち早く気づいてやっぱり帰国すべきだったし、やっぱりそう考えると、結局伊部さんが許せねえ。まあ一番悪いのは少年をレイプして人間を駒のように扱い笑って生きてるゴルツィネや大佐をはじめとした上級国民連中なんですけどね。そしてゴルツィネは最後まで主導権を握って満たされて死んでいく。これが世界。じゃあやっぱり良いアニメだったのか?と思うけれど、いや、でもほんとに伊部さんが許し難い。
あと、あそこまであからさまな親密さを描くなら英二とアッシュは恋愛関係として描いた方が良かったんじゃないかとすら思う。2人が違うというなら違うし、これは暴論だとも思うけれども、にしても“友達”やら“親友”やらというワードを出しながらの超濃密な関係には「ほお?」と思ったし、これは英二が女性だったらいくら2人が友情を名乗ろうと恋愛物語として扱われるのだろうなとも思い、モヤモヤ。名前のつかない関係というのがベストアンサーなのだろうけど。
結局色々な場面で、作者に意志や恨みがあってやっているのか(そうだと信じたいけれども)、それともただの作者の趣味(こういう絵が見たい的な)なのか、わからなくなって不安になるような点が多かった。作者を信じ抜けなかった。
最後はハッピーエンドだった。終わらせかたは、あれしかなかった。