擬人化された動物たちによるサスペンス(ミステリー)もの。
タイトルとメインビジュアルだけ見てタクシー運転手と客の1話完結人情オムニバスかと勘違いしていたが、1クール使ってのしっかり練られたストーリーがあり、大声でガッツリ笑いを取るタイプの会話劇ではなく軽妙でクスリと笑える言い回しがクセになる。
(カポエラはガッツリ笑ったけど)
展開は確かに淡々と、ゆったりしているが次回への引きが異様に上手い。
前評判に期待して1話からクライマックスのジェットコースタードラマを想像すると多分裏切られるが、このアニメは一度転がりだすと止まらない暴走タクシードラマである。
誰かが何か行動するたびに、主人公小戸川を取り巻く状況が(おおむね悪い方向に)変わっていくストーリーは入れ子構造になっており、複雑ではあるが難解ではなく、理解の範囲内にきちんと落とし込んでくれる。
一見なんでもないエピソードや場面に伏線が仕掛けられており、最終話で99%の伏線が回収された後でも、その伏線を見たさにまた見てしまう。
声優に芸人を起用しているが、大作などでありがちな「声優らしくない」素人っぽさがこのアニメではいい方向に作用しており、もちろん本職の声優陣も主人公の花江氏の低音ボイスを初めとしていい仕事をしている。
(あのラップはどうなんだろうと思わないでもないが)
尺の問題なのか他メディアを含めたそういう戦略なのか、本編に入らなかった未回収の伏線だけが残念だが、自信を持っておススメできる一作。
