「ぼっちこそ、バンドやれ!」
秋アニメのダークホースにして、2022年アニメの顔。「令和のけいおん!」は伊達じゃない。リスアニも本作の特集で休刊したみたいだし、時代がひとまわりした感がある。
とにかく表現が多彩すぎて見ているだけで楽しすぎる。ぼっちは陰キャなわけだけど、その思考がリアルすぎる上、それをダンボールに隠れたり氷風呂浸かったりスライム化したりとアニメ的な誇張された動きはもちろん、CG、謎ポリゴン、実写、あらゆる手段で描いている。
単純にクオリティも高い。演奏のシーンが良くて、「ライブアライブ」「けいおん!」を踏まえたものになっていたと思う。「けいおん!」の問題点は放課後ティータイム上手すぎという点があったんだけど、本作の結束バンド、俺が聴いても少し違和感を覚えるくらいには、ちゃんと「連携とれてない」感がある(特に1話と8話の序盤の演奏)。
「けいおん!」と比較すると、本作はライブハウスを主な舞台にしている点、「けいおん!」は放課後ティータイム5人の絡みがメインだったけど、本作は、ぼっちに焦点が当てられ、彼女が友達を得て交流する姿が描かれてる点が違う。後、「けいおん!」よりちゃんと練習してるシーンが割とある。
本作はぼっちを好きになれるかどうかが結構重要なんだけど、問題はある。このぼっち、基本的に受け身なんですよね。これはコミュニケーション苦手な陰キャあるあるなんですが、ぼっちの姿勢は基本受けで、1話とかそうなんですが、「誰かが気付いてくれるのを待つ」が基本スタイル。遊びたいのにLINEで誘ったことないからどうすればいいのか分からず後日にまわすとかあるある。「誘う」ハードルが高すぎるのである。
しかし、現実はこうはいかない。俺にもぼっちみたいな知り合いがいるから分かるのですが、まぁ何というか、受け身じゃあ駄目なんすよ。遊びに誘おうにもやり方が分からずに誘わないと、自然と友達ってのは離れていく。そしてまたぼっちになるのである…。しかし、自虐的思考を駄々漏れにさせてると、友達から「コイツ、めんどくせぇ…」と思われ、また孤独になるのである…。だから、俺はずっと「ぼっち!それじゃ駄目なんだぼっち!!」と思って見ていた。我ながらキモかったと思う。
しかし本作は、ぼっちが悩んでいたり足踏みしてると、自然と話が動く。虹夏が公園で見つけてくれたり遊びに誘ってくれたりアル中の年上女性が自信つけてくれたり喜多ちゃんが文化祭の参加申込してくれたり。ここで「ぼっちが甘やかされてるだけ」と捉える人も多いと思う。だから俺は見ながら「ぼっち、現実はそうは上手く行かないんだよ…」と思いながら見ていた。俺は文化祭なんて体育館の隅っこにいた記憶しか無かった。学校の誰も来ない場所、良いよね。後、映画とかアニメとかたくさん観てる奴は、「友達と交流する時間」をそれらにつぎ込んでる連中がほとんどなんで、基本陰キャである(俺調べ)。
つまり、ぼっちという存在に感情移入することができれば、8話は最大の感動を味わえる。オタクは基本的に陰キャなので、この辺で共感を得たのだと思う。Spotifyでアルバム聴いてます。