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NOMAD メガロボクス2のdxdxdのレビュー・感想・評価

NOMAD メガロボクス2(2021年製作のアニメ)
4.5
「あしたのジョー」原案の近未来ボクシングアニメ「メガロボクス」があって、
その続編の「NOMAD メガロボクス2」があることは余り知られてないかもしれないけど、
全力で推していきたいと思った。

まず、主人公は前作であんだけ華々しい勝利をおさめたのに、
薬漬けで、虚無感を抱え、土地から土地を渡り歩き文字通りノマドになっている。
ここまで退廃的になっている主人公を日本アニメであまり観たことがない。
その上、話数が進むにつれて、移民差別、軍事兵器などのモチーフが出てきて、
アメリカ映画観ているのかと錯覚した。

そして、前作ではある一人の人間が夢を叶える、アメリカンドリームモノであるのに対し、
人々に夢を見せてしまった、アメリカンドリームの責任を取る話だった。
夢を見て挫折する作品は多々あれど、夢を見せてしまった落とし前をつける創作物ってなかなかない。

「ギアレスジョー、あんたが見せてくれた夢からまだ醒めてないんだよ」とセリフがあったけど、
ジョーが出会うチーフ、ラストに戦うマックもジョーの夢に魅せられた人間。
夢を見せられたこそ、それは希望にもなるが、絶望にもなりうる。
夢の持つ功罪をシリーズ通して、描き切っている。

その上、ジョーの昔の仲間との和解し、チームとしてメガロボクスに挑む展開が心を熱くさせた。
1作目のあえてギアをつけないってじゃあ舞台を近未来にしている意味ないし、
ガジェッドがあるからこそのチーム感も出ないじゃんと思っていたけど、そこが見事にクリアされていた。

ラストの落とし所、ある人物のある選択にもはや日本のアニメーションの裾野広さを感じた。
自己犠牲を払ってまで勝利を得るのではなく、生きて戦い続けることだと。
旅の終わりは決して死ぬことじゃない。令和のジョーは真っ白にならず、”明日”も生きていく。
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