エイガスキー

Do It Yourself !! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-のエイガスキーのレビュー・感想・評価

5.0
【2024/02/17】
能登半島震災の復興支援としてYoutubeで無料開放されたので何周目かわからない再見。
集めた廃材を捨てたのはやっぱりわざとな気がするなー。
ツリーハウスの床部分は流石に廃材を継ぎ接ぎしたものじゃ強度が足りなくて危険だから、先生があえて過失として廃材を捨てて、代わりに強度のあるしっかりした一枚板を用意したんだと思う。
何度見ても良い、尊い、神。

【2話見終わって】
本当に何も無い・何も起きない毒にも薬にもならない日常系でもなく、熱血部活動系でもない、ちょ〜ど良い湯加減のゆるふわDIYアニメ。
ぼーっと見ているとなんか癒される。
主人公の「否定しない」性格が、現代社会で荒んだ心を浄化してくれる。
けものフレンズに似た感じのアニメだった。

廃部寸前のDIY部を存続させるために部員集めから始める、部活動系の定番。
舞台は無人の完全自律型バスが運行できているくらいの近未来。
主人公・せるふはのんびりした性格で不器用な女子高生。
いつもどこかしら怪我をしており保健室では皆勤賞。

主人公の幼馴染・ぷりんは「第4の産業革命を起こし、私がシンギュラリティになる!」と豪語する未来志向型。
対してせるふは家の作りがレトロだったり、生傷が絶えなかったりとなんとなく昭和後期あたりの物語をやっている感じ。
そういやなんで昔の子供は怪我だらけだったんだろうか……不思議。

ただこの対比が面白く、未来志向のぷりんが家に帰れば出迎えてくれるのはロボット、一方でせるふが家に帰ればペットの犬、猫、豚が出迎えてくれる。
夜中でもパソコンに向かい何かの作業をしているぷりんと、すでに寝ているせるふ。
どっちが本当の幸せなのか。
ちなみにこの2人は、ちょっとしたボタンのかけ違いから生じた小さな不和から、せるふが受験に失敗したため一緒の高校に通うことができないという決定打で(ぷりんが一方的に)仲違いしている(と思い込んでいる素直になれないぷりん)。

DIYがテーマの作品とあって工具の書き込みに気合いが入っている。
その分人間の描写の方は低カロリーで、極力影を入れるのを排除して、影となるような部分に差し色を入れたりと、全体的な絵はベターっとしているがオシャレ感はある。
動きはほぼ紙芝居。
ただしDIYのシーンに入ると途端に作画が本気を出し、予算メーターがガンガン減っていくのがわかる(笑)。
そしてアニメ最大の敵「ネジ」が多数登場するわけだが、逆ネジを出さずに無事に終えられるだろうか、その辺も楽しみ。
無性に酢昆布を食べたくなる。

監督は『かげきしょうじょ』の米田和弘。
なるほど。
この監督完全に覚醒した。
今後とも期待。

強いて言えばこれと「陰の実力者〜」がダークホース枠だろうか。

【全話見終わって】
終わってしまった・・・。
うおおおおおおおおん・・・。

まだ終わっていない今季アニメもあるが、もう間違いなく個人的今季No1アニメはこの作品だった。

せるふとぷりんの仲直りという1クールかけた大きなテーマと、DIY部の再建を通して色々な人と友達になる2〜3話づつくらいの小さいテーマの入れ子構造が良かった。

作画に関してはDIYの部分だけ力が入ってると勘違いしていた。
実際は本当に見せたいシーン、重要なシーン、キャラの魅力を伝えたいシーンに的を絞って作画強化を行っていた。
限られた予算で最大限の効果を発揮させていて本当に見事に工夫された作画だった。
特に海回はテコ入れの意味もあるのか、ほぼ全編作画カロリーが高い状態が続いていて逆に心配になったが、休憩する場所を岩陰にすることによって、せるふ達が休んでいる間は作画も陰等無くして休むといった、物語の必然とシンクロさせた作画の緩急が凄まじかった。

音楽も良かった。

大変素晴らしいアニメでした。