シズヲ

ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風のシズヲのレビュー・感想・評価

4.1
ジョジョアニメは原作の不自然な点や描写の薄い場面に対する補完・掘り下げを積極的に行っているけど、5部では特にそういった要素が色濃く出ている。5部アニメで殊更に印象的なのは「原作においてチームとしての掘り下げは希薄」「しかしキャラクターの読者人気は高く、二次創作界隈でもチーム単位でのファンが多かった」という経緯を持つ暗殺者チームに大きなフォーカスが当てられていたところ。補完どころかチーム単位の回想まで丸々アニオリで入れてきたのはたまげた。このおかげで彼らの連帯性が明確になり、“ブチャラティチームの対となる存在”として一気に解像度が上がったのが良い。グッズ展開などでも十分に大きな扱いを受けていたので中々嬉しい。フーゴ関連の描写追加など、痒いところに手が届く補完も相変わらず良い。

4部アニメは3部の男臭さ・濃さから脱却するような薄めのタッチになったけど、5部アニメではおおよそ中間点くらいの程よい濃度に戻っている。作画においても気合の入った場面では十分動いてくれるし、ギアッチョ戦ラストの太陽を背負うジョルノのカットやチャリオッツ・レクイエム出現シーンなどの演出もバチクソに決まっている。ただ今までのジョジョアニメ同様に長台詞のせいで冗長になっている場面はあるし、駆け引きにおいて無理のあるロジックもちらほらある(ここはアニメっていうか原作の問題だけど)。5部は終盤になってからチャリオッツ・レクイエム戦など不条理な展開に突入するけど、そこも原作と同じく混沌としている。キンクリの能力発動シーンなど、“分かりづらい描写を頑張って視覚的に演出しようと試行錯誤した苦労”が映像から何となく滲み出ていて味わい深い。
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