平田一

takt op. Destinyの平田一のネタバレレビュー・内容・結末

takt op. Destiny(2021年製作のアニメ)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

“苦悩を突き抜けて、歓喜に至れ

――L.V.ベートーヴェン”


DeNA、バンダイナムコアーツのメディアミックスプロジェクトから、誕生したオリジナルTVアニメーション。

人の奏でる旋律に惹かれる、宇宙からの怪物「D2」。その出現で世界から音楽は禁忌とされて、D2殲滅・人類救済を目的とした組織「シンフォニカ」が立ち上がり、長き戦いを繰り広げる。

戦線を駆けるのは、音楽を力とする少女たち「ムジカート」と、彼女たちを指揮し導く「コンダクター」なる存在。

物語はコンダクターとなった少年・朝雛タクトと、ムジカートの少女「運命」を中心に紡がれる。

MAPPA×MADHOUSEの最強布陣もさることながら、実力派キャスト陣が集結したこの作品。アプリゲームの前日譚ってところがかなりのネックでしたが(この手のアニメは最近だと爆死案件印象なので)、これは中々面白かった、というかかなり良かった!

中盤で大分間延びをしちゃうところはありましたけど、前半の怒涛のアクション、終盤での幕引きと、12話を存分に使い切ったのが素晴らしく、特に終盤アンナさんの見せ場が爆発でしたね(まさかタクトに〇〇をするとは)。

MAPPA特有の躍動感あふれる怒涛のアクション作画、厳しい試練待った無しのシビア溢れる物語。

その中で命の限りに戦い続けるタクトと運命。タクトに笑顔と指針を教えた大きな存在・レニーさん。レニーさんとの約束を守り続けた「巨人(タイタン)」。嘆きの果てに狂気へ堕ちた、英雄だった男ザーガン、そして残され、ある決断を自ら下したアンナさんと、どこをとっても人間らしさに溢れたキャラクターばかり。特にザーガンの最期には、何とも言えない哀しみを、運命の結末は儚さと切なさが……この余韻は同じMAPPAの「どろろ」以来の感触です。

先ほども言ったように、間延びも感じられましたけど、個人的には嬉しい裏切りが待っていて最高でした。

もう一回堪能したい時間を作りたいですし。
平田一

平田一