『ログ・ホライズン』とともに今や一つのジャンルとして確立した仮想現実大規模多人数オンライン(Virtual Reality Massively Multiplayer Online、VRMMO)もののさきがけとなった作品。
2022年、意識をゲームの世界に没入させることができるナーブギアと呼ばれるゲーム機とVRMMOゲーム「ソードアートオンライン(SAO)」がリリースされ、多くのゲーマーがSAOを楽しんでいた。ところが、SAOにはログアウト(現実世界に戻る)ができない仕様になっており、ゲームマスターであり開発者から、
・ログアウトする唯一の方法はゲームのクリア
・ゲーム内で死ぬとは現実世界でも死ぬ
ということが伝えられる。
SAOの世界では、他のプレイヤーと協力して攻略を目指すもの、他のプレイヤーがクリアを待つものなどに分かれる中、テストユーザーだったキリトはクリアを目指すものの、他のプレイヤーよりも優位にあるテストユーザーであったことが集団の中で活かせずに他のプレイヤーから不信感を持たれ、一人で攻略をすることになってしまう。
集団で協力して取り組まないといけないシチュエーションであっても出る杭が打たれてしまうなどの集団心理、ゲームなどの仮想現実であっても人と人とのコミュニケーションは現実であるということ、といった真理ともいうべき考え方で話が作られているため、なるほどと思うエピソードはいくつかあり、名作と言われるのも頷ける。とはいえ、自分はオンライン麻雀くらいしかオンラインゲームをほとんどやったことがないので、オンラインゲームをやったことがある人にしか分からないこともあるかもしれない。
!!以下閲覧注意!! アンチ的レビューあり
でも、ストーリーというかキャラクター設定がオタク向けのポルノっぽく感じてしまう。ブラコン妹が登場したり、ヒロインはアスナは典型的な理由なきツンデレだったりする。生き死にがかかったシチュエーションで、自己本位は良くないとするキリトが至る正論に基づく行動はかっこいいと言えるが、現実ではコミュ障気味のキリトがテストユーザーの優位性によりいわゆるモテる(ハーレム)状態になるという、オタク羨望のベタな展開、いや、今やベタになってしまった展開と言うべき展開。さらには、国際的には非難の的になるストーリー的に過剰なエロ描写。こうしたことをひっくるめてこの作品をキモいと感じる人もいると思う。
キリトのキャラクターはともかくとして、アスナを始めとする女性キャラの設定や過剰なエロ描写に疑問を感じながらも第1シリーズは完走はしたが、やっぱり万人受けはしない作品だと感じた。
続編は少し趣が変わるというので、観てみたいところだが、比較のために先に同じくVRMMOものの『ログ・ホライズン』を観てみたいと思う。