ウシュアイア

H2のウシュアイアのレビュー・感想・評価

H2(1995年製作のアニメ)
3.0
リアタイの記憶があるようなないようなところで、原作も途中まで読んでいたこともあり、FODで改めて何話か飛ばし飛ばしで観てみた。

原作はあだち充の野球漫画の中では最高傑作(野球漫画以外も含めると最高傑作は『ラフ』じゃないかと思う)と言われる。

ヤブ医者につかまり投手人生が終わったかと思い野球部のない高校に進学したエース比呂は、誤診がわかって野球を再開し、野球部を立ち上げる。比呂の幼なじみ・ひかりの恋人にして親友でライバルの4番バッター英雄は野球強豪校に進学する。比呂と英雄は野球においてもひかりのことにおいてもお互いに意識し合って切磋琢磨するというお話。

原作連載当時、野球はサッカー人気に押され気味で、野球人気のテコ入れのつもりもあって他の作品に比べて野球がしっかりと描いたこともあって、連載が長期化して完結まで放映できなそうになかったことや、視聴率の低迷などにより、アニメ放送は中途半端なところで打ち切りになってしまったようだ。(最後までやる気なら放映枠を移動して続けていたはず。)

改めて観ると、視聴率が低迷していたのも分かる。野球漫画の割に作画やアニメーションの問題で野球のシーンがイマイチ盛り上がりに欠け、声優の演技もイマイチ。(今を時めく津田健次郎さんも主要キャストでありながらも声優としてはデビュー作。)『クロスゲーム』を観てしまうとなおのこと。

比呂と英雄の2人のヒーローとひかりと春華の2人のヒロインが出てくるが、春華は英雄との絡みはないので、比呂と春華、英雄とひかりがそれぞれ無風で進展してしまうのではつまらないということもあってか、結局のところ水面下でひかりをめぐって比呂と英雄の三角関係。そんなこともあって春華は不憫に思えてしまう。また、完結から四半世紀近く経っていることもあり、ヒロイン像は今観ると少し古臭さを感じる。


久保田利伸『虹のグランドスラム』、西脇唯『「二人」に帰ろう』はアニメでは成しえなかった原作の野球と恋愛のバランスを体現したOPとEDだと思う。
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