変なアニメ(良い意味で)
益体の無いキャンパスライフを送り続ける主人公が「もしあの時こうしていれば」という後悔をする。様々な並行世界の視点で主人公のキャンパスライフを見ていくがどれもろくでもない。けど、それでも四畳半の世界に縛られている主人公からすればそのどれもは薔薇色じゃないにしても躍動感のあるキャンパスライフに映った。
「あの時こうしていれば」の夢想がそもそも不要、というか無意味な考えで、その時々の自分が選び取った先に今の自分があるのだ。それ以外の道なんて本来は結局選びようが無いのだ。機会はいつでも転がっている。いつでも踏み出していけよ、と。
途中までずっと変なアニメだな、と思いつつも湯浅監督の優れた映像感覚、演出のおかげで飽きずに見れる。とにかくあらゆる演出がウィットに富んでいるのだ。そして10話、11話でこの作品のテーマが一層明確となり、同時に次々と氷解していくストーリーは気持ちいいものを感じる。あんなに小憎らしかった小津すらも肯定してしまうのがすとんと腑に落ちる気分だった(小津にとってのクリティカルなダメージをやっと最後に与えられたのもグッド)。ちょっとでも自分の人生に後悔を抱えたことのある人にオススメしたいな、と思うアニメでした。人は選ぶかもだけど。