KengoTerazono

異世界美少女受肉おじさんとのKengoTerazonoのレビュー・感想・評価

異世界美少女受肉おじさんと(2022年製作のアニメ)
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なぜ評価がそこまでかんばしくないのかが不思議。

ホモソーシャルの間隙をついた、素晴らしいアニメだと思うのに。男性のホモソーシャルにおいて大事なのはホモセクシャルの排斥だ。だけどそれは、ホモソーシャルとホモセクシャルの境界線が曖昧すぎて、ふとした時にセクシャルの方へ転落してしまいそうだからではないか。「未知の領域」へ足を踏み込むまいとして、必要以上にホモセクシャルを意識し、無きものにする。

自分達はそうではない、純粋な友情関係だ。だが、本人の意志とは裏腹に、それを意識すればするほど、「魅了」の数が増える。

人はみんな関係性を分類したがる。関係性に境界を作りたがる。だが、本来人と人との付き合いはそういうものでは割り切れない筈だ。少なくとも見た目の性別が変化すれば、相手を異性と意識してしまうほどに、その中身は曖昧で相対的である。

実際観客の私たちだってそうだった筈だ。橘が女性になったとたん、2人を異性愛的なものとして観る瞬間が多々あっただろう。橘が女性を可愛いと思い、その女性へ話しかけるとき、それを異性愛ではなく、女性のホモソーシャル的なものとして捉えてしまったのではないだろうか。

中身は変わらないのに、見た目が変わるだけで、関係性の在り方に対する捉え方が変わるということは、関係性の名称なんて、その程度のものであるということなのだと思う。
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