川尻義昭のサイバーパンクOVA。90年という当時の時代性を考えれば圧倒的に最先端な映像を作っていたのはわかる。
だが不幸なのは、同時期に攻殻機動隊の原作が書かれ、3年後に押井が映画化をしたことだ。
近未来日本を舞台にしたサイバーパンクSFな警察機構という、モロかぶりの題材だ。流石にシロマサの設定の巧さには、今作も霞む。
とはいえ川尻らしいスタイリッシュさに満ちた作品だ。
OEDO都市で多発する犯罪に対抗するため、犯罪者に刑期短縮の恩赦を与える条件で機動刑事として犯罪捜査に協力する3人組。リーダー格のセンゴク、電脳戦のゴーグル、美形だが武闘派のベンテン。3人の活躍が1人1話で展開される。
タイトルが“大江戸”だし、十手を持っていることから、放免された犯罪者=岡っ引きをモチーフにしていることがわかる。
1話は、占拠された巨大ビルに向かうセンゴクの話。かつて殺したはずの天才科学者の復讐により倒壊するビルをセンゴクが止める。
2話はゴーグルが、かつてのパートナーの事件に巻き込まれ軍の兵器と戦う羽目になるという話。
軍の兵器は死体にパワードスーツを着せるという狂気じみたものだ。ちょっとフランケンシュタインの怪物っぽい。
3話はベンテンが吸血鬼騒ぎの事件を追う。コールドスリープされていた女性が勝手に人体実験で不老不死の身体を与えられてる。自分が不死になるために犠牲を厭わない科学者をベンテンが追う。
個人的には3話が一番楽しめた。というか川尻義昭の良い所が一番出たと思う。後のバンパイアハンターDに通じるゴシックホラーの風味が加味された作風が格好良い。この方向性は攻殻機動隊には無い魅力だからね。