MCU世界において、映画で描かれた出来事とは異なる展開を迎えた場合の“もしも”を描いたアニメシリーズのシーズン2。
前シーズンは様々な世界線のヒーローの物語が収束して一つの大団円を迎えるという感じの流れになっていたが、今作はキャプテン・カーターことペギーを主人公にしたいくつかのエピソードを除くと独立した話が多かった。
ノヴァ軍に拾われたネビュラが夜の近未来都市で殺人事件を追う『ブレードランナー』のオマージュな1話やクリスマスの日にテロリストに占拠されたスタークビルで戦うハッピーを描いた完全に『ダイハード』な3話と言った映画パロディ回と、ハルクとソーが辿り着く前の惑星サカールでトンデモカーレースを繰り広げる4話が遊び心あって好き。
ペギーがメインになる話も面白いと言えば面白いんだけど、何となく前シーズンに比べて省エネ感が否めないところもあった。特に最終話なんかは、様々なキャラクターが入り乱れて登場するという今作ならではの展開があるんだけど、まともにセリフがあるのはヘラ(ケイト・ブランシェット)くらいで他のキャラはそこにいるだけ程度の活躍しか見せてくれない。ヘラは他のエピソードにもちょこちょこ出てくるので、ついでに声撮り出来たから喋っただけなんじゃないかとか邪推してしまう。
後、本筋のMCUはフェーズ5まで進んでいるのにこちらでは未だにフェーズ3までの要素ばかりというのもやや物足りないところ。フェーズ4以降の登場人物は『シャンチー』のウェンウーと『ブラックウィドウ』のメリーナが脇役で出てくるくらい。もしかしたら製作時期的な問題なのかもだが、ここ3年くらいの話が全然出てこないのがちょっと不自然に感じてしまった。
また、新キャラクターのカホーリは原作無しのオリジナルみたいで、ヨーロッパからの侵略を受ける先住民族という出自はヒーロー版『ポカホンタス』みたいでなかなか面白いが、他の既存キャラを押し除けてまで出したかった意図は分からず。『ホワット・イフ』世界で活躍していくのか、実写への登場の布石なのかは分からないが、今シーズンだけではちょっと掘り下げ不足だったかな。