四季

異世界の聖機師物語の四季のネタバレレビュー・内容・結末

異世界の聖機師物語(2009年製作のアニメ)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

異世界×ロボット×ハーレム!栄華を極めるハーレムアニメここに爆誕。

天地無用シリーズでお馴染みの梶島正樹氏が手掛けるOVA作品で異世界ファンタジー系ハーレムアニメです。 OVA作品なだけあってどの話もクオリティが高く、ハーレムジャンルとしてのハードルは楽々飛び越えてるんじゃないでしょうか。 あとは異世界やロボットというハーレムと掛け合わせたジャンルが好みかどうかの問題ですね。

全13話と1クール分ですが一話がだいたい40~50分程度あるので実質2クール並のボリュームがあります。 視聴したのはブルーレイ版です、単巻で全13巻だったのがBOXだとディスク5枚になっていて視聴が捗りました。

この作品単体で視聴しても楽しめますが主人公の柾木剣士が天地無用の主人公、柾木天地の異母弟という設定なのでファンならニヤッとできる場面が多々出てきます。はっきりと細かい説明はありませんが魎呼や阿重霞に砂沙美など、天地ファミリーのことをにおわせる発言があったりしましたね。しかしそういったシリーズを一切観たことなくても全然問題ないのでご安心ください。

基本的に私はハーレムジャンルが苦手なのですがその一番の理由は『なぜモテるのか理解できない』というところにあります。ハーレムアニメは数多くありますがそのほとんどが特に理由もなく主人公がモテてる作品だと私は考えます。しかしこの作品の主人公である剣士は他のハーレム作品とは一線を画するスペックをもっておりモテモテなのも納得です。掃除、洗濯、炊事といった家事全般はもちろんのこと建物の修繕や薬の調合に教養も人並み以上に備わっており、天真爛漫で小動物のような愛くるしさをもちながらも恐ろしいほど身体能力は高く戦闘では天下無双。そうです、ただの超人なんですよ。もう非の打ち所がないくらい高スペック主人公なんです。 普通こんな設定だったら「なんでだよw」となりますが剣士の場合は 天地ファミリーの家系で育ったという背景があります。家事全般は砂沙美に。剣術は祖父や天地に。建築関係は建築家の父に。薬の調合は鷲羽に。身体能力がずばぬけてるのは魎呼などに色々遊ばれたのでしょう。シリーズの流れを汲んでる設定が功を奏し違和感のない高スペック主人公が誕生しました。

そんな剣士が天地ファミリーの策略により異世界へ飛ばされ あれよあれよという間に女性たちを籠絡しハーレムを築き上げていく男にとっては夢のようなアニメでした。 最初は剣士を鍛えてやるつもりかなんかで異世界へ飛ばしたのかと思ったけどシナリオの感じだと最初から決まってたことなのかな?ED観る限りだと面白半分が7割くらい占めてそうでしたが…。そりゃこんなことを平然とやるような家族と一緒に育てば嫌でもたくましく育つというものです。

異世界に飛ばされた剣士が運悪く拾われたのはババルンというこの作品の大ボスに位置する男の配下たちでして元の世界へ帰すのを条件にシトレイユ皇国皇女ラシャラ・アース暗殺の任務を言い渡されます。ババルンというのはシトレイユ皇国の宰相で早い話が反乱です。この世界には聖機人と呼ばれるロボットが存在しておりその乗り手を聖機師といいます。聖機師の男女比は女性のほうが圧倒的に多く男性聖機師は希少な存在とされてるんですよね。そのせいで女性聖機師よりも待遇はいいが自由な恋愛などは認めておらず、優秀な女性聖機師と交わい子を残すいわば種馬的存在ともいえるのです。そんな世界なものだから高スペックでしかも聖機師の剣士はちょーモテモテでした。

話を戻しますがババルン一味の者からラシャラ暗殺の任務を受けますが結果的に失敗しラシャラの従者として保護されるのです。元来暗殺なんてできるような人間ではないので当たり前の結果ですがラシャラの護衛をつとめるキャイアとその場に居合わせた聖機工のワウ二人を相手にして 軽くあしらうほど聖機師としての能力も高く本当に乗ってヨシ、降りてヨシの超人主人公ですよ。ババルン一味に切り捨てられた剣士はラシャラの従者としてスワンと呼ばれる浮島のような船で聖地なる場所へ向かいます。聖地には学校があり各国の貴族や皇族が通っているのです。前半は主に聖地での学園ハーレムメインでお話は展開します。 ちなみに前半までで剣士が聖機師だと知ってるのはラシャラとキャイアのみなので聖機師関係なく素のスペックでモテてます、なんともうらやましいことか。 学園にきて最初に彼が経験するのは寮での下働きです。そこでの仕事ぶりが認められ今度は学園の生徒になることが許可されるのです。 さらに女生徒からの支持も集め気がつけば生徒会の人間になります。物語終盤になるとラシャラからスワンを買い取り「けんしの国」設立を宣言。それまで親交を深めてきた各国の女性たちが続々とけんしの国へ亡命を希望し寮の下働きから始まった彼の異世界での生活は気がつけばハーレム王国の王という立場になっていました。あまりにも自然すぎて気がつかなかったけどある意味これ成り上がり物語じゃ… 1話から7話くらいまでがバトルなども特にない学園ハーレム構成になっており 8話以降の後半はババルン一味がついに行動をおこし聖地を制圧し、ラシャラや剣士は追われるようにスワンで聖地を後にします。 他のキャラクターたちは自国の防衛をかためるために帰国し剣士たちは各国をまわりながらハーレム要因たちを助け回収していくというお話になってます。なんか一度は手元にあって散り散りになってしまったハーレム要因たちを再度手中に収めてくって考えてみたらかなりシュールだけど面白いのでよし。そうやって拾っていくキャラクターたちが「けんしの国」へ亡命を求める流れです。 どこいっても剣士に黄色い声援が飛び交うような作品ですがどのキャラクターも個性的で埋もれてないのが好印象です、捨てキャラがいないんですよ。容姿に性格や言葉遣いなど細かく色分けされており似たようなキャラクター性になってないのがよかったんだと思います。個人的に好きなのはユキネとフローラ様ですね。もじもじした女性キャラクターはあまり好きじゃないんですがユキネは可愛かったです。ババルンにはダグマイアという息子がおり剣士たちと同じ学校に通っていますが彼が事件の首謀者である事件も多く、作中では剣士たちの一番の障害として刃を交えるキャラクターでもあります。前半は学園での生活がメインで描かれるので剣士たちとバカンスに出かける話もあったり敵としてではない彼の一面も見れたりします。とはいってもそのバカンスでもちょっと悪いことをしてたんですけどね…。まくら投げで失神してるあたりはまだ可愛げがありました。ダグマイアはポジション的には剣士のライバル的立ち位置ですが剣士が強すぎるので勝負にもなりません、彼が抱いてるのは剣士への妬みや劣等感なんですよね。

『お前さえいなければ・・・何度もそう思った』
『だが、それは間違いだった』
『お前に勝たなければ・・・お前を超えなければならなかったんだ』

ラストバトルでは正々堂々一騎打ちを申し込みますがボロクソにやられ
『すごいよ、お前は…』と一言。
清々しいまでのやられっぷりでもう妬みとか劣等感とかそういう次元ですらなかったんですね。ボロ負けしたのにどことなく吹っ切れたような印象でした。 ちなみにヒロインの一人でもあるキャイアは当初ダグマイアに好意を寄せてましたが聖地占領あたりから気持ちに整理をつけ剣士のハーレム要因として心機一転です。ダグマイアが一騎打ちを申し込んできたときに キャイアが『あんなやつ放っておいて』みたいな発言をするんですよね。たしかに世界の滅亡がかかってる時なので先を急ぎたい気持ちもわかりますがあれだけ好意を寄せてた相手だったのにね…。
どうやら気持ちの整理をつけたどころじゃないみたいです。そんなダグマイアを一途に想い続け彼の進む道が覇道だとわかってても行動を共にした女性がエメラです。彼女は非道な作戦などには反対なタイプですがダグマイアには逆らえないという感じです。剣士にボコられてダグマイアが吹っ切れたことで彼女も少しは報われたのかな? この作品は敵の作戦で追い詰められることもありますが剣士がバトルで苦戦するということはほとんどありません。苦戦したと言えるのはラストバトルくらいかな?そういうところもふくめ剣士の超人っぷりを楽しむアニメといえるでしょう。最後も世界を救った英雄として…いやそれ以前からとっくにモテモテでしたが…。
まぁ英雄として各国の女性たちから結婚の申し込みをされ追いかけまわされる終わり方というのもハーレムアニメらしい大団円で後味のいいものになってます。ただダグマイアが落ちてたラスボスのコアに触れコアの破損部分から出血するという意味深なシーンもあるので 二期があっても全然おかしくない終わり方だったんですよね。 あれって見方によってはガイアがダグマイアの体に乗り移ったという伏線になりますよね…。それとも単に脅威はまだ去ってないという意味深な終わり方にしたかったのかなぁ。どちらにしろ二期があってもおかしくないような終わり方になってました。

嫌味を感じさせずにここまでの超人主人公をつくりあげたことに僕は脱帽です。 女性に守られるハーレム主人公が多いなか久々に女性を守るハーレム主人公を観た気がします。それも十分強い女性たちを守るというのだから誰にでもできる事じゃありません。普段守られることなど無い彼女たちだからこそ守られることによって心を奪われてく。ハーレムジャンルとそれらの展開がうまく噛み合って歯車のように最後までまわり続けた作品でした。 ハーレム×ロボットが好きで超人主人公が観てみたいならオススメです。
四季

四季

四季さんの鑑賞したアニメ