こたつむり

進撃の巨人 Season1のこたつむりのレビュー・感想・評価

進撃の巨人 Season1(2013年製作のアニメ)
4.0
『進撃の巨人』が大ヒットした要因。
それは、冒頭(コミックスで言えば第1巻)で徹底的に“絶望”を叩きつけたのが新鮮だったこと。主人公が食べられてしまう場面たるや…かなり衝撃的でした。

そして、そこから謎を提示し続ける展開。
まるで傷口に塩を擦り付けるかのように、いや、傷口をグイグイと広げるかのように、痛みの上に困惑を乗せ続けて物語は進み続けたのです。まさに辣腕、まさに剛腕。

だから、気がつけばハマっていました。
この先、エレンたちはどうなるのか。地下室の先に何があるのか。巨人の正体は何なのか。この世界の秘密とは何か。気になって仕方がありませんでした。

それでいて、全体的に未熟なんです。
登場人物の書き分けが微妙だし、時系列も弄ることが多いので、読みづらかったんです。手書きの数字だけで時代を表現するのも不親切。何度も読み返すことが必須でした。

それはある意味で長所であり短所。
結果的に物語に惹き込む要因になりましたが、スルッと飲み込めるほうが一般受けするわけで。エンターテイメントとしては微妙だと思っていたんです。

それを克服したのがアニメ版。
原作者も「漫画のほうがアニメをコミカライズしたものと思ってほしい」なんて発言もされているようですし、確かに完全版と呼んでも相応しい出来栄えでした。

何しろ、構成を手掛けたのは小林靖子さん。
もうね。この時点で“あたり”は確定したようなもの。複雑な時系列を整理し、分かりやすい形に再構成すれば、本来の“良さ”が際立つのも当たり前なんです。

また、尺も全25話と十分にありますからね。
登場人物の描写も無理に省くことなく、丁寧に寄り添っていました。予算=クオリティではありませんが、尺の確保はとっても重要ですね。

まあ、そんなわけで。
今更ながらに観賞しましたが、原作を読了してもなお「面白い」と思えるのは流石。原作で伏線回収も丁寧に行ったからか、再検証もスムーズです。もしも、未観賞ならば躊躇する理由なんてありません。機会があれば是非に。
こたつむり

こたつむり