こたつむり

進撃の巨人 Season3のこたつむりのレビュー・感想・評価

進撃の巨人 Season3(2018年製作のアニメ)
4.5
相変わらず見事な脚本でした。
巨人の謎でグイグイと引っ張った前シーズンと違って、今回は政治の物語。地味で難しくなりそうなところを整理整頓して“分かりやすく”再構成しているんです。

特に前半のまとめ方は教科書に載るレベル。
みんな大好きリヴァイの過去を絡めながら、色々な思惑を描きつつ、先がどうなるのか…と原作を読んでいても手に汗握っちゃうのです。

この辺りが小林靖子さんの手腕。
本当に惚れ惚れしちゃいますよね。あまり脚本家さんは表に出る職業じゃないですけど、もっと脚光を浴びてほしいです(クリエイティブな仕事ばかりではない部分なんて、会社員ならば共感の嵐でしょう)。

なので今回も安定して面白いのは当然。
ある意味で本シーズンは“伝説の終わり”を描いた物語ですが、着地点に至る軌跡が素晴らしすぎるので「ここで終わりにしても良かったのではないか」なんて思ってしまう始末。

だって…ねえ。
原作はここからが少し長かった…ですからねえ(それこそ某マンガの某亀仙人のセリフを思い返すくらいに)。「海が見たい」という衝動で突き進んだエレンの物語としては綺麗な形だったと思うんです。

が。が。がががが。
今の時代、この先が一番大切な話。
憎しみが憎しみを生み出す物語にどう決着をつけるのか。それは創作者として“やりがい”のある題材なのは間違いないですからね。期待しかありません。

勿論、それはシーズン3まで走り続けた成果。
ぬるま湯のようなマンガ界に現れた『進撃の巨人』は、さながら超大型巨人のように“壁”を壊し、新しい地平線を切り拓いたのです。その伝説の終焉は…いかなる着地点を迎えるのでしょうか。

まあ、そんなわけで。
静的な前半と動的な後半のダイナミズムも然ることながら、全体的に亘って散りばめられた伏線を回収していく緊張感に大興奮できる作品。シーズン2まで観ておいて、その先を観ない…という選択肢はあり得ないと思うので…是非に。

最後に余談として。
オープニング曲のボーカル…hydeっぽいなあ、とか思っていたら本人だった件。ははぁ。この曲がウワサのアレですか。YOSHIKIっぽいというよりも初期のラルクっぽい旋律で割と好き…と思って一曲を通して聴いてみたら…フレーズの使い回しが激しくて…。うーん。
こたつむり

こたつむり