このレビューはネタバレを含みます
アニメでこれを超える傑作に今後出会える気がしないほどの名作。エレンは本質的に最初から何も変わっていなくて、それでいてこの世の不条理を駆逐しようとして更なる不条理を生み出してしまった。絶望感に打ちひしがれる最終シーズンは口が開きっぱなしだった。人類の8割を踏み潰したエレンに対し渇いた笑いしか出てこないし、エルディア人安楽死計画の方が幾分かマシだったようにすら思えるのだが、大切な人を守るためでも自分にはその選択はできないので、その意味でエレンの真っ直ぐさは少し眩しかった。初めは信じられない思いだったが、考えてみれば真っ直ぐなバカが力を手にし、重すぎる重圧を背負った末の当然の結果。
悪戯に死んでいった調査兵団を含む数々の面々が頭に浮かぶ。果たして彼らの御霊は報われたのだろうか。報われたという考えが、残された者の傲慢なのかもしれないが、せめてハンジさんだけは"よくやった"と天国で健やかに笑っていてほしいと強く願った。