私のAVVENIRE

平家物語の私のAVVENIREのレビュー・感想・評価

平家物語(2021年製作のアニメ)
5.0
かつてない『大河アニメ』を目撃して震えた。
山田尚子監督がアニメーションの歴史にまたしても偉大な足跡を残したと断言出来る。映画レベル、もしくはそれ以上の何かとでも言えそうな異次元のTVアニメ作品。

日本人なら誰もが知る諸行無常の『平家物語』
これを「祈り・語り継ぐこと」をコンセプトに再構築し、山田監督流の詩情溢れる美しいアニメーションで当時確かに生きた人たちを、まさに「物語っている」

僅か11話という短い尺で早めの展開ながら、多彩な演出で平家一門への言い知れぬ情感が伝わって来るのが素晴らしい。1話1話、ただ圧倒される凄味があった。
史実だけでは懸命に生きた人々の姿は伝わり難い。それを本作は鮮やかに映像化しつつ、祈り、物語ることの尊さ、そして世界の美しさを力強く訴えている。
"何回だって言う、世界は美しいよ"
本作のOP『光るとき』のこの一節は、山田監督からのメッセージとも解釈している。

"800年の時を超える祈りの物語"

このフレーズを見事に体現した、近年稀にみる意義深いアニメーション作品をリアルタイムで見届けられたことを誇りに思う。
そしてあの未曾有の忌まわしいテロから2年、半ば復帰を諦めかけていた中、山田尚子監督の新作を観られたこと、それが何よりも嬉しい。これから先も監督の作る作品を楽しみに、自分も生きていきたいと思う。