Train

ヨコハマ買い出し紀行のTrainのレビュー・感想・評価

ヨコハマ買い出し紀行(1998年製作のアニメ)
4.5
時が流れてく。

一応ポスト・アポカリプス系だが、悲壮感に満ちたものでもサバイバルのお話でもない。生き残った人々は残されたものを使いながらただただ平穏に暮らす、静かな日常の物語。まるで人間のような感情を持ち合わせるロボットや正体不明の生物が同居している中々に不思議な世界だが、詳しく説明されることはない。キャラクター達はそんなゆっくりで摩訶不思議な時間と空間に小さな幸福を見出すのである。『ARIA』や他の日常系が好きな方には是非とも見てほしい作品。原作も読んでいただきたいが、普通に出回ってないせいか値段が超高騰してるのよね。「図らずも入手困難になっていた単行本を全10巻に再編集、装いも新たに刊行! 」とか言ってた新装版も高過ぎて手を出せないという...(自分は元の単行本をクーポン使ってできる限り安くオークションで落とした)

ともかくこの最初のOVAは時間を豪勢に使う。ゆっくり、ゆっくりと。原作は台詞を削ったほぼ絵(ぼぉーっと空を見上げるだけの回もある)の回があるが、劇伴を抑えた環境音だけの演出も相まって原作のその空気感を見事にアニメでも再現。セル画の色味も良い味出してる。

レビューしてくれる人がいなかったら存在すら知らなかっただろう隠れた名作。レビューしてくれた方には感謝しかない。
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