ぜにげば

その着せ替え人形は恋をするのぜにげばのネタバレレビュー・内容・結末

その着せ替え人形は恋をする(2022年製作のアニメ)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

マジ神なんですけどー。
完璧すぎない?
※原作未読

まずopから完璧。
声質もドンピシャ、雰囲気もドンピシャ、最後のbe mydelf!とか完璧じゃん。
喜多川さんが歌ってるって言われたら騙される自信あるわ。
映像も完璧。
イントロワクワクするし綺麗だし、まじ神。

edもめっちゃいい。
今作のエンディングとして100点すぎる。
歌完璧すぎだろ。ちゃんと喜多川さんぽいんよな。
映像のデフォルメ具合も最高。認識間違ってるかもしれないけど高橋留美子っぽい感じすごくいい。

作品の雰囲気を正しく捉えさせてくれるテーマソングって意外と少ないからマジで凄い事だと思う。
中途半端に寄せるくらいなら昔のるろ剣とかSLUMDUNKみたいに曲の魅力で押して欲しいんだけど、この2曲ぐらいドンピシャならめっちゃいいね。
原作読んでないから説得力に欠けると思うし、原作の雰囲気とは違う可能性もあるけど、OPの1音目を聞いた瞬間からずっと楽しかった。

そして声優さんも良い。
急にこんな事を言って申し訳ないんだけど、どのアニメをみても梶さん神谷さん中村さん花澤さん佐倉さん早見さんみたいな状態じゃないですか。
どの声優さんも心の底から大好きなんだけど、声を聞いた瞬間に「○○さんだ」って思ってしまうのはノイズだと僕は思います。
声優さんが表に出てくる事が増えて久しいけれど、本来あるべき姿ではなく、あくまでも裏方的な立ち回りをしてもらった方が僕は作品をより楽しめるなぁと思います。
その点今作は主要4人の声優さんどの方も、有名声優かと言われるとそうでは無い。
Filmarksで確認したけど、種崎さん以外は出演作もまだ多くない。
種崎さんを知らないのは僕が無知なんだろう。
石毛さんに関してはゴジラで知ってたけど。
この、キャラクターの第一声で声優さんの顔を連想しなくて済むってのがまずめちゃくちゃ良かった。(見る人の知識量に依存するけどね)
(不快にさせたらすみません。挙げた方は本当に全員好きです。)

そして演技もめちゃくちゃいい。
てか演技に関しては日本の声優さんに対して疑いの耳を持ったことは一度もないんだけど、マジでめちゃくちゃ上手かったと思う。
キャラが活っき活きしてた。本当に。

そして作画。絵が綺麗とかは勿論なんだけど、挙動が凄まじく良い。本当に。
劇場アニメよりも良いんじゃないかな。
所作が人間すぎてずっとビビり散らかしてた。

この後作品の内容についても褒めちぎるわけだけど、そう感じれたのはここまで挙げてきた要素によるものなのかもしれない。

ストーリーもめちゃくちゃ良かった。
最初は主人公五条に感情移入して一緒に喜多川さんにときめく構図の、少女漫画の少年版、“少年漫画”なのかと思ってた。
着せ替え人形は喜多川さんだけど主人公は五条っていう、ドラえもんのドラえもんとのび太と同じ構図かなと。
ただ最初の3話で“男用”(便宜的な言い方)の描写が多くて、作者は福田晋一さんという方らしいし、典型的な男性作者が描くちょっとエッチなラブコメなのかと落胆した。
ソードアート・オンラインを触り見した時の気持ち悪さすら思い出した。

ただタイトルには恋をするのは着せ替え人形と書かれてるし、妙な違和感もあった。
そしたらよ、最初に五条から喜多川さんへの気持ちとかを描き、途中から逆転し、そのあとは両方を描くじゃないか。
しかも調べると作者さんは女性だそう。

やられた!

男用(便宜)でもなければ一方向の作品ではなく、誰用でもない言うなれば皆用で両方向の作品だった。
楽しみ方としてはToLOVEるなどといった作品とは違い、高木さんとか逃げ恥とかに近い、「2人を尊いと思って楽しむ」タイプの作品だった。(逃げ恥見てないし、高木さんはニワカだし割と高木さんを楽しむ側面もあるけどね)

ただ他の作品と違うのは、これらの作品は微笑ましくあるべきなので基本的には性的な描写は避けるんだけど、今作はそれを描いていること。
勿論大人同士の場合は描かれると思うけど、今作は高校生。
バトル漫画ばかり見てる自分にとってはかなり意外だった。

勿論本番を迎えることは一期の時点ではなかったけれど、それでも露骨に性欲を描いていた。
高校生の2人を見て笑顔になるタイプの作品だからこそ正直に性欲を描き、そして互いに誠実に接する様を描く。
全部を描ききった素晴らしい作品だった。

恐らく最初の3話にティッシュ然り性的な描写が多いのは漫画において連載を勝ち取るための釣り的な効果を狙ってるんだと思う。
ただ言いたいのは、これらの描写は何も偽って入れられた描写ではない。
最初から最後まで一貫して五条と喜多川さんの内面、それこそ性欲に至るまでを正直に描いている。
その範疇での釣りだと思う。
描くからこそ引き立つ誠実さがそこにはあった。。
決してToLOVEるが起きたわけでは無い。
(ToLOVEる等を否定してるわけではない)

だからなんというか、言葉を選ばなければ、もちろん人それぞれ見方は違うけど、今作を見てムラムラすることは無いんじゃないかな。

素晴らしいのは当然恋愛部分だけじゃなく、恋と並ぶメインテーマであるコスプレについても描き方が素晴らしかった。
コスプレに詳しくない人にとっては知れる喜びもあるし、何よりこれも誠実に、本業の方を尊重した描き方をしていた。
喜多川さんを初めとしたコスプレをするキャラクター達もレイヤーとしてのプライドを持っていて、本当に抜かりなく素晴らしかった。

余談として、女性漫画家の男性風ペンネームについて

余談
多くの人が喜多川さんに対してこんな人いないと言うけれど、もしそれが理由で今作の評価を落としていたりすることがあれば勿体ないなと思う。
どういう文脈で言ってるか分からないけど、希少だと言う意味ならその通りだと思うし、高嶺の花的な卑下したような文脈で言ってるのであれば、こじらせてると思う。
妄想しようや。
それに、ギャル部分を抽出すれば全然現実にいるし、オタク部分を抽出しても同じ。
喜多川さんの存在は非現実的だけど、あくまでも現実的な要素を掛け合わせて生み出された存在。
読モできる程の美人だって学校に一人くらいいるさ。

もひとつ余談
鬼滅の時に何故か話題になった男性風ペンネームの女性漫画家さんの例のひとつだね。
正直鬼滅の時は名前に対して男か女かよりもなんて読むかわからんってのが強かったし、何となく読んだ雰囲気で女の人が描いてそうだなって分かったけど、今作はアニメだから色んな人が描いててそんなのわかんないし、晋一は流石に男の名前すぎて完全に騙されたわ。
やられたー。
mark!にもコメントにも“男用”(便宜)って表現を使ったけど、二択じゃないとはわかってて、でもそれ以外の見極めはそもそも出来ないので、男っぽいか女っぽいか、「女の下ネタってえぐいよな」みたいなノリで言ってるだけです。


追記
ラブホに入る時点でしてるのと一緒だし高校生で入るのはあまり良くはないとは思うんだけど、トンビにフライドポテト投げたシーンと同じで、ポイ捨てや餌付け(ラブホに入る)はダメだけど、一応のそうなってしまった理由と何よりも誠実さがあるから問題なし。
てかそういうシーンだからな。

僕は「アニメなんだから何したっていいだろ!」は間違ってると思ってて、本来なら描かない方がいい事だと思う。
というか描き方次第かな。

それありきのシーンで嫌みたいな意見もあると思う。
勿論作者さんの発想の順序としては、エッチなシーンを描きたいってのが先にあって、その後にラブホに行かせようって考えると思う。
ただそれを見てて感じさせないか、納得させるかのどっちかを満たしてればこれは問題ない。
前者は見方次第だから安定しない。
僕は「喜多川さんってそういうとこある」にめちゃくちゃ納得が行ったから、全く気にならなかった。
作品全体のクオリティが高いからこそな気もするから、結局は“凄いかどうか”な気はするな。

理由があって面白いかどうかを判断してるのか、面白いかどうか判断してからその理由を探るのか、鶏が先か卵が先か。
まあこれも作品によるか。
直感的に面白い!と思えて時間を忘れて、振り返って好きな所を列挙する。
この一連の流れが一番幸せだろうから、そういう作品と沢山出会いたくて、皆Filmarksをやってるんだよね。
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