鈴木パンナコッタ

機動戦士ガンダムSEEDの鈴木パンナコッタのレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダムSEED(2002年製作のアニメ)
3.8
実はSEEDって貴種流離譚の変形なんだよね。高貴な生まれの英雄が、自分の出自を知らずに各地を放浪し、復讐を遂げて栄誉を手にする。王家の血という英雄の資質を、SF的に再解釈したのがスーパーコーディネーター。徹頭徹尾、キラという英雄の物語。1stをなぞりつつも、根本的に異なる発想。
キラは出来損ないの兄弟に憎まれ、「それでも守りたい世界」=仲間を守るために戦った。出自に従ってアスランとザフトに行かず、勝つか負けるかの能力能力主義に抗い、感情に重きを置いた。お気持ち至上主義。なのでキラは能力が幸福に繋がらず「どうしてこんな所まで来てしまったんだろう」とつぶやく。
能力を要求される世界観のベースにあるのは「戦争は勝たなければ無意味、負ければ殺される」という恐怖感。これ、冷戦の恐怖が原体験にあるような気がするんだよな。異質な集団への恐怖と、世界が滅亡する緊張感が関係しているのでは?と。