映画大好きそーやさん

よふかしのうた 第1期の映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

よふかしのうた 第1期(2022年製作のアニメ)
3.5
雰囲気系ボーイミーツヴァンパイアストーリー!
何より先に煌びやかな夜、星空の情景に感動させられました。
自分の街はどんな風に見えるのか、実際に飛び出してみたくなるような、素晴らしい描き方だったと思います。夜遊びはほどほどが肝心ですけどね!
1クール通して描かれる外の価値観は眩しくて憧れるし、確かに大きな自由を感じます。
でも、その誘導を任された存在、体現者がそこまで魅力的に見えないのはなぜでしょう。
深淵からは程遠い庶民ヴァンパイアに享受された価値観では、どうしても牽引力の弱さが拭えないような気がします。
種の存続のためには殺害も厭わない。
そういった常人にはない感覚があるとはいえ、どうしてもよくいる一般人的思考を元に会話しているのが、夜更かしという劇薬のような概念を教える存在としてどうなんだろうと、根幹の部分から考えてしまう自分が鑑賞中消えませんでした。
個人的には、もっと底知れない存在として描かれていた方がワクワクできたのではないかと思います。
どこか作られた狂気を肌で感じて寒かったのかもしれません。
主人公設定もチグハグで、作者がどういったキャラクターにしたいのかが都合によって変わっているように見えました。
また、Creepy Nutsの楽曲自体はいいのですが、毎度毎度同じ曲を流されては折角の良曲も価値をなくしてしまう、輝きを失ってしまうような気がしました。
ここぞと言う時に使うのはいいにしても、本作での楽曲の使われ方は陳腐で引き出しの少なさを感じざるを得ませんでした。
漫画原作のアニメだからと言われればそれまでですが、ギャグにおいてのボケ、ツッコミの温度感も若干の違和感があり、それぞれの釣り合いをもう少し考えても良かったのではないかと思いました。
ただ後半の探偵が登場した辺りからは物語のギアが一つ上がったが如く、格段に面白くなっていきました。
最初からこの路線でいくことが難しいのは理解しますが、終盤のような設定を上手に利用した展開を序盤からもっと盛り込んでくれていたらと、無い袖を振りに振りながら完走した作品でした。
奥深い題材だっただけに、惜しい作品でした!