カオリ

少女革命ウテナのカオリのネタバレレビュー・内容・結末

少女革命ウテナ(1997年製作のアニメ)
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このレビューはネタバレを含みます

 ちゃおで掲載していた漫画版を連載時につまみ読み、アニメ放映もそれなりに見たが改めて漫画を通読してAmazonプライムで見直し、更にニコニコ生放送の3日間連続放映にて視聴者の観覧実況付きで再度見た。
 「美少女戦士セーラームーン」が私の幼少期を楽しい夢とときめきの中で育んでくれたとすれば、「少女革命ウテナ」はその私を夢から起こして新しい世界に旅立つ準備をさせてくれたと思う。どちらの作品も自分にとってはかけがえのない精神的な柱になっている。
 学園の甘美で儚い幻影世界において王子様にもたれかかって生きざるをえない姫の世界の王子が弱り果てた後、世界の果てが新たな王子を募り争っている。姫の世界は新しい存在が闘争に巻き込まれることで最後には革命され、自分の意思を蕚にして自分を支えて花咲き、籠の外へ潔く歩み出していく物語と解釈した。男など要らないというよりかは、自立に男や恋の有無は関係ないというスタンスが近いように思える。
 視覚と聴覚それぞれでくどいほどに示唆し続ける舞台演劇的演出は次第に心地良く感じられた。
 セーラームーンで天真爛漫で走り切った三石琴乃は陰がある演技を楽しませてくれたほか、学園という鳥籠の中で身の丈以上に羽ばたこうともがき戦う学生たちの姿を描くために実力ある声優陣が健闘してくれている。
 サブキャラクターの中では特に七実が気に入っている。彼女だけはずっと自分自身に正直な振る舞いだったので登場人物の中でもとりわけ印象深い。底意地の悪さでアンシーを虐め抜こうとするかと思えば暴れ牛を怖がったり可憐な声で兄に縋り付くので、嫌いになれない。
 主要人物たちが譲れないものを賭けて決闘する場面は、それぞれの執着がそのまま剣になって交わっているような鬼気迫る鍔迫り合いの連続だった。
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