完璧なコース料理を頂いた感覚。
キャラデザも設定も構成も素晴らしい。1話の時点でキャラの魅力が最大限に引き出され、キャラの良さが作品を支える軸になった。架空の世界観だが、現実の世界との整合性も保たれているから、納得感を与える。平穏な喫茶リコリスと、アクションシーンと、日常のシーンと。敵との対峙と、味方とのわだかまりと、わだかまりの解消と。本当に多くの要素が詰め込まれているが、物語上の一切の過不足が存在せず、全ての出来事がその後の出来事の原因を成す。最終話に向けて、全てが完璧に計算され、非凡な構成が施された。何気ないシーンも、本作を構成する上で欠かせないピースである。
美少女日常アクション系現実的ファンタジーみたいな、要素モリモリの作品だが、描くべき部分と、描かなくても良い部分を明確にし、必要なものだけをじっくりと描いたからこそ、中途半端な要素が一切ない、完璧な作品となった。この構成力には脱帽だ。セリフも良い。多くを語らず、全てを語る。キャラクターの内面的な部分を描写することも多かったから、その度にセリフの良さに感激していた。真に良いセリフとは、沈黙に意味が生まれるセリフだと思う。本作にはそういう奥ゆかしいセリフが多々あった。
多くの要素があるということは、それだけ多くの人にハマる可能性のある作品ということ。是非とも多くの人に観て頂きたい作品。
