YasujiOshiba

ラブ、デス&ロボット シーズン3のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

-
ネトフリ。いつのまにかシーズン3。このシリーズは映像がほんとよい

なぜか3−3「死者の声」から見始める。これは「The Very Pulse of the Machine」という原題のほうがわかりやすい。マシンのまさにそのパルスを感じること。木製の第一衛星イオそのものがそのパルスを発しているという発想は、どこかで聞いたような話。アニメは日本のポリゴンピクチャーズ。レベル高いね。

3-4 「小さな黙示録」は「Night of the living dead」のパロディで「Night of the mini dead」。ミニチュアでゾンビを見ることは、距離を取ることであり、距離のおかげで、ぼくらは感情移入することなく、平然と、いわば神の視点をとることができるという、そんなお話し。だから、ラストの引きのショットは、まさにコスミックな距離の取り方。

3-5 「絶体絶命部隊」は「Kill Team Kill」の訳なんだけど、うまいね。「殺しのチームが殺す」と訳しても面白くないかも。でもぼくとしては、マリオ・バーヴァの『呪いの館』の英語タイトル「Kill, baby kill」を思い出しちゃった。まあ全然違う映画で、こっちはグリズリー&ターミネーター&コマンドーみたいなものかな。

3-6 「巣」は「Swarm」だけど、たしかハチに襲われる同名の昆虫映画があったよね。こっちはもうすこし気色の悪くて、かるくエロとグロがまざりあいながら、長い進化のスパンで生物を俯瞰しようという作品。オープニングとエンディングで、「君と話ができるのは楽しいよ」というセリフが繰り返されるのだけど、意味がひっくり返るところが秀逸。

3-7 「メイソンとネズミ」"Mason's Rats"は、ターミネーターのミニュチュア版といえばよいのだろうか。ラストで自家醸造のうまい酒がほのぼのさせる。

3-8 「地下に眠りしもの」は "In Vaulted Halls Entombed" で「ドーム上のホールに埋葬されたもの」ってことよね。entomb は「墓 tomb」に入れるという意味だけど、あそこにいたのは封印された悪魔みたいなものなんだろうな。せっかく封印されているののに、アホな人間が危うく開封しそうになっちまう。基本的に、人間ってほんとにアホというパターンが繰り返されてるわけだ。

3-9「彼女の声」の原題は "Jibaro" 。ジャバーロと読むのだろうか。これは耳の聞こえない兵士の名前。あれは十字軍なんだろうな。兵士たちは湖のセイレーンに引き寄せられて全て死に果てるのだけど、ジャバーロだけは助かってしまう。なにせ聞こえないからね。ところがセイレーンはそんな彼にどうやら惚れちまうんだな。そこからはセイレーンと耳の聞こえない兵士のみごとなダンスがはじまる。そう、ダンスなんだよ。森の中で、湖の上で、川の流れの中で、繰り広げられるダンシーンの残酷な美しさは、たぶん映画的な表現として至高のもののひとつだと思う。

12/21
3-1 『"ロボット・トリオ: 出口戦略』(Three Robots: Exit Strategies)
このトリオは面白いね。シーズン1で最後にネコに囲まれちゃうトリオだよね。このロボットが自分のルーツの地を観光するわけだけど、どこか「ダーク・ツーリズム」と呼ばれるものに似ている。いかにして人類が滅び、ロボットが独自性を獲得したかを知る旅。まあ、ロボットからすると平凡なふつうのツーリズムだけどね。

3-2『最悪な航海』(Bad Travelling)
監督はフィンチャー。なんともダークな世界。カニの怪物サナポッドはもちろん怖いのだけど、ほんとうに怖いのは人間だということか。いやはや、フィンチャーらしい。そして、それがこのシリーズのテーマなんだろうね。
YasujiOshiba

YasujiOshiba