途中までは圧倒的に面白かったのに、ラスト3回でガクッと評価が下がってしまった。
最終回でここまで全部が色褪せるなんて初めてかもしれない。
そもそも「途中までは圧倒的」だったのもてっきり1年続くと思っていたからで、2クール終了の物語ならあらゆる評価が変わってくる。
シーズン1から通して、「助走」のまま話が終わってしまったような気がするからだ。
もう少しで何か大きなことが起きそうな雰囲気が漂っていて、大きな世界観や秘密が見え隠れしては次回にお預け、の繰り返し。
それでも、主人公の周りのドラマは丁寧だったから、いずれこのミクロなドラマとマクロな世界観が結びつくのだろう、今は助走だから我慢、と思って観ていた。実際、徐々に展開も早くなり始めていた。
それが、ラスト3話で急にデカいだけのラスボス機が出てきて、あれよあれよという間に最終回。
「戦争シェアリングとは根本的にどのようなシステムなのか」
「クワイエット・ゼロとは究極的には何なのか」
「ミオリネの母はクワイエット・ゼロに何を託したのか」
その辺の話は全部雑な説明で脇に寄せられた上、「GUNDは医療技術」というプロローグからの理念も特に何の苦労もなく叶ったことになってしまっている。「ガンダムの呪い」、そんなもんだったのか。
アーシアンとスペーシアンの対立もあれだけじっくり描いていたのに、全部うやむやに。
ミクロな物語としても、スレッタの母依存は解決したけど、他の問題は何一つ解決していない。
ミオリネの父との確執、グエルの贖罪とラウダの憤り、エラン(5号)やシャディクの空白、あらゆるドラマが中途半端なまま、「何となく丸く収まりました」みたいな空気。プロスペラに至っては物語の都合でむりやり改心させられてしまった。
いやいや、『祝福』で誤魔化せると思うなよ。
「Season 3に続く!」とかなら分かる。でも、こうもハッピーエンドで綺麗に終わったかのような空気を出されると「こういうの見たかったんでしょ?」とバカにされているような気分だ。そりゃ最後はああなれば良いと思ってたけど、過程を全部省いてハッピーになるなんてのは物語とは言わないんじゃないかな?