ラスコーリニコフ

機動戦士ガンダム 水星の魔女 第2クールのラスコーリニコフのレビュー・感想・評価

3.7
話題作の第二シーズンで、完結編である。おそらく、最近のガンダムの中では最も批判が少なく、ポピュラーだったと思うが、どうにも自分にはしっくり来なかった。ガンダムの本質である「戦争と対話」という面が弱いのだ。というのも、最初から学園ものであったため、本格戦争に向けた覚悟はほとんどなかった。メインの軸はキャラクター(学生)の成長であって、戦争という悩ましい憎しみの連鎖をいかに断つか、人殺しは赦させるかという倫理的な問いではない。主人公に至っては暗示された通りクローンのようなもので、アイデンティティに対する悩みは生じるが、対話相手が基本的に子供であるため、これも歴代ガンダムと比べるとそこまでの深刻さは伴っていない。総じて、今回のガンダムは軽いのだ。キャラクターをあまり殺さずに戦争の悲惨さを伝えることは難しいのだろう。ただ、ガンダムシリーズへの間口を広げたのは事実であり、ガンダムであることを差し引けば面白かったのは間違いない。