このレビューはネタバレを含みます
3DCGの世界で完成された傑作だったぶん、アニメーションでの不完全さが浮き彫りにされていてしまっている作品。
ゲームで彩られていた、ひときわ可憐で美麗なキャラクター、息をのむ寂寞観を与えられる廃墟群。忘れ去られた機械たちに、荒涼として哀愁を感じさせる砂漠。ゲームではこの世界観を表現するためのCGに目いっぱいの力が込められていました。例えば、崩れた街並みに佇む、2Bに差し込む光の柔らかさ。ちょっとした場面で立ち止まって見ても、不思議と絵になる景観。物語のムービーで語り合うキャラクターたちを映し出すカメラワークひとつとっても、繊細な美しさを感じるものでした。そんな細部にまで徹底したこだわりを感じられるのが、本作の魅力であったと思います。
予算の都合上制作するの難しいであろう部分でも表現力に手は抜かれておらず、決してプレイヤーの世界観を崩すことの無いように細かく配慮されたところが大きな魅力である傑作のひとつでした。
しかし、アニメーションでは残念ながらこれらを感じることができませんでした。戦闘でも、2Bのスピード感となまめいて美しい妖艶さを感じさせる躍動感を、本作からは感じることができませんでした…最初の飛行ロボットのCGもチープに感じられてしまった。立体感を感じたキャラクター達は平面的になってしまい、身体の輪郭に映し出される陰影も含めて作り込まれていたゲーム内での「美しさ」を、本作からは感じることができない。どうしてこうなってしまったのでしょうか?見ていて口惜しい気持ちになりました。
それに、2話でゲームの中にいたロボットたちをそのまままとめて映し出すことでまとめて処理されてしまっていたのもどうかと思いました。ゲーム上ではフィールドに点在して、プレイしながら彼らと気まぐれに話す中で少しずつ世界観を知り、浸っていくことが楽しめたのです。アニメ冒頭でそれらをまとめて映し出されたとしても、没入感や深みを感じることは難しいのではないでしょうか?例えば思い切って少なめに省くことで一つのロボットにフォーカスすることで世界観を訴求してみるとか、2Bや9Sがふと見た光景として、世界の一部として映し出すとか、そういう心配りがあると嬉しかったです。
2Bの表情についても惜しいと感じます。目隠しをしていたとしても、決して無頓着ではないことが声や口元、身体の動きから想像できる、そういう作品を期待していたのですが・・・やっぱり、アニメーションにすることが難しいのでしょうか。声優さんたちの声は洗練されていて、相変わらず素敵だなと思いました。
今後の出来次第なのかもしれないですが、今のところうーん、という感じです。。。
from 路傍の壊れた機械生命体より