丁字路

魔法使いの嫁 SEASON2の丁字路のネタバレレビュー・内容・結末

魔法使いの嫁 SEASON2(2023年製作のアニメ)
4.3

このレビューはネタバレを含みます


カレッジには、各々の家によって縛られ、正常な保護者がいなかったり失ったりした生徒たちもいる
エリアスに出会う前のチセ同様、そこから掛けられてきた言葉や経験してきたことによって身動きが取れなくなっている者もいる。
チセが掛けられている呪いと、根っこは似ている者たち。

また、シーズン1では自己を犠牲にすることで誰に対しても「救う」という選択をしてきたチセだったが、シーズン2ではルーシーを守るために、刺客の命を結果的に奪うことになった。

魔法使いとして未熟であること。チセが相手にしているものはチセが考えるよりもずっと道理の通じない者であること。自己を犠牲にしてもなお足りない時もあること。周囲が代償を払う可能性があること。刺客にも情けを掛ける姿勢は周囲をより危険に晒すこと。
カレッジに足を踏み入れてから様々なことがチセに突き付けられる。

19話、チセは飛び出すだけでなく周囲の危険も考慮して一歩我慢する(葛藤する)ことはできるようになった
そこでエリアスが手を差し伸べるのがすごく良かった
チセが彼女と約束(契約)をしたから自分たちは動く、という理屈でエリアスもフィロメラ助けに乗り出す
たしかにチセ一人だけでは無謀でも、エリアスの手助けがあれば可能になる

エリアス自身も「友人」が出来たことで、チセと一緒に友人を助ける、という動機で行動する
カレッジに行く前と後でチセとともにエリアスもまた得たものがあることも嬉しい

21話でチセはフィロメラの記憶の中に入る。幼少期の姿のチセとフィロメラとの対話は、かなりカウンセリングのような形になっている
過去の一つ一つの記憶に対して、その時どう感じたかを認めて、解いていく様はインナーチャイルドの概念を取り入れているようにも見える。
幼少期の姿で混在した記憶の中を進んで一つ一つを拾っていくのは、omoriのようでもあった
同時にフィロメラはチセの記憶も知っていく。

まほよめを異種婚姻譚として楽しんでいたのでシーズン1よりもエリアスとのいちゃつきが大分減ったのが寂しかったけど、
「他者との関わりを通した自己受容と自己決定」という根っこのメッセージは変わらないので、骨太で楽しめた。前半は落ち着いているので後半まで観てほしい。
エリアスはやきもきしていただろうな。


以下は印象的な各話のメモなど
エピソード6
シーズン2でお気に入りの回。互いが互いにとってどうありたいか、お互いにどういう形で関係を続けていきたいかを考え直して、言葉にしていくのはすごく大事なことだし、チセたちが向き合い続けてきたことだからおいしい回だなと思う 思っていることは言葉にしないと伝わらないというのを地で行き続けていく物語だから、軌道修正を続けながら関係を深めていっているのがストレスがなく、うれしい。
チセが考えあぐねながらもエリアスに向ける言葉は衒いがなく、まっすぐで伝える相手のことを想っているのがわかる。そこが良い。

エピソード8
エリアスがキャンプに付いていこうとして結構理詰めで食い下がる。
エリアスの、「ほら、僕がついていった方が良かったのに」感がすごい。 拗ねてて人間らしい。
そこで「相談」に切りかえるチセの機転と成長にうれしさと誇らしさを感じてる気もする。
それか、チセにこれを解決できる力があることをわかってて、促してるのかも

エピソード9の
「チセこそわかってる?君を一番心配してるのは絶対僕だと思うけど」←この台詞好きすぎ

エピソード11
過ぎた情けは身を亡ぼす。チセはそれでも自分たちを狙おうとしてきた刺客に手を伸ばしてしまうし、いざとなれば自分が割を食えばいいとどこかで思っている。でも相手は人間よりも道理が通じない存在で、こうしたチセの姿勢は周囲の人物をも危険に晒していることに変わりはなかった。交渉材料になる魔力が多いスレイ・ベガとはいえ、魔法使いとしては見習いの未成年。目に入るすべての人に手を伸ばしてしまうチセの行動はかなり危険で甘く、今回は運が良かっただけ。門番たちが羊肉に納得しなければ、ルーシーが犠牲になっていたかもしれない。そのことを知った今、チセはどうするのだろう。

エピソード19以降(雑多)
「だけどチセ、僕らは、何だ」の構図が1話のチセとエリアスが出会ったシーンと一緒?

チセ「私もね、たくさんの人に拾い上げてもらったから ひとつずつ、ひとつずつ
でも本当は、いつかの私と同じような目をしたあなたを助けることで、あの頃のわたしも助けたいんだと思う」

アイザック「どんなことも、どうとでも言えちゃうんだ みんな、誰の昔も助けられないんだ
でも、今の君は言っていいんだ したいこと、されたくないこと、だれかにしてもらいたいこと
そしたら、君を助けたい誰かが、君に手を貸せるんだ」

チセ「いなくても、叫んでほしいんだ どうにかなりたいなら」

リズべスの過去 毒親的立場のキャラクターも単純な悪役としてではなく掘り下げている

チセ「だけど、手を伸ばせる場所にいるのに、見ないふりするのは私が嫌だ」「今回は、こうするのが一番いいって、私が思うからです」

エリアスの「チセ、君は本当に僕に遠慮がなくなったね」っていう台詞好き

アダムの呪からリズべスへ「可哀そうな女 強すぎて自分の内側に誰も入れられず、入れようともせず、結局誰もあんたのそばに残らなかったね」
自分は強くないけど指摘されているような気持になる

アイザックを気に入っているのでもっと掘り下げたエピソードも見てみたい
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