ケルト民話の妖精と魔法の世界。
それぞれに生きづらさを抱えた登場人物たちが互いを支え合い、時には奪い、憎しみながら自分の生き方を見つける話。
周りから疎まれ条件付きの愛情しか知らなかったチセ、妖精にも人間にもなれず自分のアイデンティティを確立しないまま大人になったエリアス、チセと同じ苦しみを持ちながらチセとは真逆の方法で自分を癒そうとしたヨセフ。様々なバックボーンを持つ登場人物達が有機的に作用し合って互いの考えや関係性が変わっていく。いわるゆケミってやつ。
面白いのは妖精の行動様式。力を貸す代わりに依頼主の血肉を食らい、愛したものはそばに置いて縛ったり呪いをかけて離さない。相手を大事に思う気持ちや愛情ではなく、掟や契約によって関係を結ぶ。常に白黒がめちゃくちゃはっきりしてる。妖精達からすると、人間は気持ちが常に揺れ動き、曖昧でふわふわした頼りない存在かもしれない。
