想像してた内容とは全く違ったが、想像よりも面白く密な内容の百合アニメだった。
話の導入に多少強引な所もあるが、そんなことはどうでも良い。主人公がひょんなきっかけで、ある小説に出てくる女学園をモデルにしたコンセプトカフェで働くことになり、お客さんを喜ばせる為に即興芝居で百合営業をすることになる、そこまでは単に舞台を設置したに過ぎないし、ちゃんとタイトルが示しているのだから、店長が当たり屋の手口で無理矢理主人公をアルバイトとして引き摺り込んだくだりには目を瞑って欲しい。なんせ、この作品の面白い所は、お仕事である百合営業と実際の人間関係のギャップなのだから。
ぶっちゃけて言うと、この作品は今までのどの百合作品にもないぐらい人間関係がギスついている。それは過去のわだかまりやガチレズな恋心まで様々だ。現実じゃ昼ドラ並みにドロッドロなのに、いざ仕事場に出ると皆で仲良しの仮面を被る。それが時折剥がれたり、演技に見せつつ本音を語り合ったり、思っている以上に深い駆け引きが展開される。それがとても見応えがあり面白い。しかもそれらの人間関係がちゃんと主人公を中心に構築されており、主人公の主人公たる所もしっかり押さえてある。中々やり手の作品だ。
正直この作品の主人公はあまり良い性格だとは言えないが、主人公の周りの子が主人公に依存する理由はすごく分かりやすいので、人間関係の行き違いを楽しめる人にはかなりおすすめの作品だ。
