全体を通してみると本編の前日譚としては悪くない作品だが、このすば本編のアニメの面白さには届かなかった印象のスピンオフ作品。
内容は、めぐみんが爆裂魔法へ憧れたきっかけから習得までの経緯を前半、里を出てからカズマ達に会うまでの経緯を後半で描く二部構成なのだが、前半がどうしても盛り上がりに欠けたことは否めない。
もちろん前半も決して出来が悪い訳じゃない。厨二病全開の紅魔の里のキャラクター達は皆個性的で面白いし(特にブッコロリーは良いキャラしてる)、本編ではあまり出番のないめぐみんの妹こめっこの、可愛いけどかなり肝っ玉の座った言動をする予測不可能な問題児っぷりもたっぷり拝める。何より学生時代のめぐみんを見られるのはかなり贅沢だと思う。しかし視聴者的には何か物足りない……そう、ツッコミが不在なのだ。その弊害が特に顕著なのが前半、確かに紅魔の里編は魅力的なキャラクターが多いけど、全員ボケだから話がくどい。視聴者の大半がカズマさんのツッコミの重要性を身に沁みて感じたことだろう。しかも地元にいるためか、前半のめぐみんは愛らしさよりも性格の悪さからくるクソガキ感の方が強く印象に残る。
ちょむすけやゆんゆんの扱い方とか序盤はかなり酷かったし、そういう点も不評に繋がったのかもしれない。
しかし里を出た後半はかなり盛り返していたと思う。アクシズ教徒とか言う、より強烈なキャラクターが登場し、めぐみんがツッコミに回らざる終えなくなった水の都編から始まりの街アクセルでの本編好きにはたまらないサプライズ演出まで見所も増え、雰囲気も後半は本編に近い。
総評、このすばという作品が好きならば見ていて損はない一作である。