ななみ

STEINS;GATEのななみのレビュー・感想・評価

STEINS;GATE(2011年製作のアニメ)
4.4
タイムリープSFとしての王道を詰め込みながら愛嬌ある個性的な人物達の交流と葛藤、一線の先にある陰謀との対峙を過不足なく収めた傑作。なにより原作からの再構成が巧みで個人的には序破急丸ごと面白い。2010年秋葉原の夏という舞台も今は郷愁心を煽られる場として魅力的だ。

原作からして人気作だが本作の放送から破竹の勢いで売れに売れたらしく、それも納得の完成度のアニメである。でも序盤から中盤までの緩慢な日常回の連続はなかなか攻めてるな……。

個人的には下準備や土壌作りに位置する部分ゆえの退屈さはあるとはいえ、海外ドラマの構成を参考にしたシナリオにはほぼ毎回 小規模なクリフハンガーが存在しているので、キャラクタに対する愛着を高めると共に水面下で起きている陰謀に迫る過程は充分に面白いと思うし好ましい。

中盤以降のタイムリープ展開は語り部である岡部が過去を変える重みを思い知らされるそれとして見応えがあり、回避できない悲劇に対する受動的な姿勢から能動的に目指す未来に向けて友人達の願望を無きことにしていく流れは、背負うべき責任への右往左往が見て取れて退屈しない。

タイムリープ物に限らず時間を軸とするSF作品にありがちな二者択一的な選択に関しては、序盤から積み上げたキャラクタへの愛着が有効に作用していて、心境の追体験めいた感慨が得られる。2クールも付き合ってるんだから当たり前といえば当たり前なんだけど、ある程度アイコン化された存在が可愛気として機能してる作品なので尚そう感じるのかな。

あと牧瀬紅莉栖と岡部倫太郎は、今井麻美 宮野真守のベストアクトキャラクターだと思います。
ななみ

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