酔狂侍

ONI ~ 神々山のおなりの酔狂侍のレビュー・感想・評価

ONI ~ 神々山のおなり(2022年製作のアニメ)
3.5
堤大介監督のことを知ったのは、世界中のアニメ作家を友達の輪のようにリレーして、一冊のスケッチブックを完成させた「スケッチトラベル」のプロジェクトの頃、ピクサーで活躍してる面白い日本人が居るんだって知ったのが、初めて。
その後、ピクサー卒業して仲間と立ち上げたトンコスタジオのショートアニメが、アカデミー賞にノミネートされたりして、満を持しての本格的な長編プロジェクトになったのが、NETFLIXで配信が始まった「ONI ~ 神々山のおなり」。ということで、子供向けアニメのカテゴリなんだけど、当然、それだけに終わらない内容。腰を据えて全4話と向き合った。

まず、CGで制作してるのに敢えてコマ撮りアニメを彷彿とさせる、素材感漂う柔らかなキャラクターが可愛い。
動きもコマ撮りアニメを意識して、多分、秒間のコマ数をテレビや映画の半分くらいに落として敢えて、チョコマカさせてる。
で、日本の妖怪をディフォルメしたキャラとか、日本の風景の再現度は、これ、アメリカでアメリカのスタッフが制作したアメリカの作品だよね?って、知らなかったらわからないレベル感。
自然を描いた色彩とか美術がそりゃあもう見事。
ストーリーは、神々の棲む山(てか、妖怪なんだけど)を舞台に、彼らが恐れる鬼の正体が明らかになる物語。
雷神であることを隠してる、なりどんと、彼が育ててる娘を主人公に、差別とか多様性の問題を問うシナリオになってるところが現代的でもあり、日本に生まれ、アメリカでチャンスを掴んだ堤監督ならではのテーマになっている。

そう言う意味では、監督の原案を脚本にしたのは岡田麿里さんだったりして、堤監督のスタジオだからと言うのは大きな理由だったとしても、もはや、この分野で作品を成立させるのに、国境を意識させるコトなく、こんな世界観の作品を創れる時代が来たんだと、驚かされた。
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