馮美梅

江戸前エルフの馮美梅のレビュー・感想・評価

江戸前エルフ(2023年製作のアニメ)
3.5
東京月島にある高耳神社の御神体は異世界から召喚されたエルフのエルダ。
主人公の巫女の小糸にしてみたら、ご神体と周囲は崇められ慕われているけれど、どう見ても引きこもりの愚図っぷりにしか見えない。

月島の町の描写などが本当に綺麗、一見どうしようもないエルダにみえるんだけど、不死のエルダを見ているとなんだか切なくなってくるんです。
だって、江戸時代からずっとこの町の人たちと関わり生きているわけで、それはその人が生まれて死ぬまでもずっと見ているわけで、どれだけ仲良くなったとしてもいずれお別れが来るという事って寂しいことだと思う。

引きこもっていたらそういう悲しい思いをすることはなくなるわけだし、でもそういうわけにもいかないしね。普段ふざけた俗世にまみれたエルダだけど、ふとした時の小糸や町の人の事を思う表情、今と昔の違いを話すときの懐かしそうに話すふとした時の表情を見るとき、小糸の成長を喜ばしく思う一方、いつかくる永遠の別れの事を考えてしまうと単にヘラヘラと楽しんでみる作品でもないなって。

だから今の世を楽しく過ごす小糸や町の人たちの交流をこちらも温かく見守りたいなと感じる作品。
馮美梅

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