性と暴力の薫りに溢れた世界。それは美しい殺陣で魅力し、あるいは嘘みたいな設定で呆然とさせる。しかし、セックスが、バイオレンスが、とっくに顕在化していることが分かってしまうと、上から下へと落とされる物理法則で鮮やかに結び付けられる。ミミヒメとシロは崖から落下することで二人の間に流れる感情を確かめる。マルは拳を何度も振り下ろし、優雅とはとても言えないバイオレンスに勤しむ。ロビンをボコるマルの無表情は、キルコの胸を揉もうと迫ったときのそれにも通ずる恐ろしさがあった。
そんなこんなで、壁の中、或いは補助線のない外の空間に窮屈に閉じ込められていた世界は、子供たちが乗る船が街へ向かうショットによって、拡がっていく=繋がっていく。