硝煙の漂う犯罪都市・ロアナプラの世界観をフィクションに留めない──この世の何処かに「ロアナプラ」が存在すると思わせる──のは、片渕監督の職人気質の賜物であり、実証的な手法を取っている所以ではないだろうか。
日本という「光の世界」から来たロックが、犯罪や暴力が当たり前の「闇の世界」を目の当たりにし、そこで葛藤や苦悩することによって、本作の物語はますます奥行きを増していくことになる。
精巧に作り込まれたメカニックやバトルシーンに始まり、洋画さながらの比喩表現たっぷりな台詞回しも含めて、どこまでも唯一無二性を感じさせてくれる作品。
