和泉ポン太

BLACK LAGOON The Second Barrageの和泉ポン太のネタバレレビュー・内容・結末

BLACK LAGOON The Second Barrage(2006年製作のアニメ)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

平成を代表するハードボイルドガンアクションアニメ。
往年のB級映画を彷彿とさせる手に汗握るアクションシーンや演出もさることながら、考えさせられる重いストーリーがとても面白い。
自分が一番好きなエピソードはヘンゼルとグレーテルの双子の回。これは作中でも発言があった通り「チャウシェスクの落とし子」という1900年代の独裁政権での不妊手術の禁止による孤児の大量発生(実話)がテーマになっている。バラライカの「跪け」も印象深いが、自分としてはロックと双子の片割れとのやり取りがとても良かったと思う。ロックというのはある意味この世界においての唯一の観測者だ。即物的な価値を見出せずには生きていられない環境の中で一線を引いて事の顛末を客観的かつ一般的な論理で見送ることができる彼にとって、各話の悪役とそれに向けるレヴィやその他のキャラクターの感情というのは生々しく、それでいて今自らの以前置かれていた環境と今置かれている環境の差異をひしひしと実感させるものだ。今回の悪役というのは壊れてしまったいたいけな子供。しかしだからこそ世界がいかに残酷なのかを際立たせる。淡々と恐ろしい過去を語る子供を、これほど悲しく、そして恐ろしく見たことはなかった。
このようにB級映画を思わせておきながらも随所随所に設定の細かさというのを感じられる大胆ながらも緻密なアニメだ。とても楽しめた作品だった。
和泉ポン太

和泉ポン太