落雷

ばいばい、アース 第1シーズンの落雷のレビュー・感想・評価

3.5
「えっ、あれアニメ化すんの……!?」
原作勢として、期待4割不安6割というところで臨んだ本作。結果は……まあなんだかんだ楽しめたけど不安は大体的中したという感じ。

剣と魔法や王様、異種族といったファンタジーの頻出要素は登場するものの見慣れたそれとは大分実相は違う。いわゆるテンプレ世界観からは外れた(というかひねった部分の多い)作品なので、視聴者はほぼゼロベースでそれを理解していく事が求められる。本作が難解に感じられるのはそれゆえか。
ちなみに取っ付きづらいのは原作からしてそうなので、アニメが取り分けて劣っているわけではない。
ただ、小説を読む事に比べると、アニメの視聴はやや受動的な一面があり途中離脱もしやすい。そうなるとこの取っ付きづらさは大きなディスアドバンテージ(難解な用語には適宜字幕を入れるなどの工夫は見られる)。
根本的にこれを克服しようとするなら、アニメとしてのクオリティを上げて、多少難しいと感じても面白いと思わせて押し流してしまうしかない。そして、残念ながら本作はそこまでの出来ではない(どうしようもなく低クオリティというわけでもない)。
原作はというと、冲方丁の作品の中でもある意味一番ギラギラとした熱量溢れる、マジで心血を注いでいるのが伝わるような文章によるパワープレイで読者を殴り倒してくるような本。残念ながら、アニメにはそこまでの熱量は感じられなかった。

ここまで厄介原作勢丸出しの文章で貶してきたが、そうは言えども好きな作品がアニメ化された事の喜びは否定し難いものがある。
本を読んでイメージしていた絵をアニメはどのように解釈してくるのか、キャスト陣はどんな声で演技してくれるのか、楽しみに各話を待っていた。
クオリティ面で難があるように書いたけれども、映像として楽しめるレベルのラインには達しているので離脱もなく無事完走。いち原作ファンの望みとしては、2期こそはクオリティと熱量の積み上げを期待する次第。

……今更だけど、これ劇場版でやった方が良かったのでは。
落雷

落雷